平成19年度 地球シミュレータ利用報告会

宇宙の構造形成とダイナミックス

発表資料 (4.7MB)

1. プロジェクト名

宇宙の構造形成とダイナミックス

Cosmic Structure Formation and Dynamics

2. プロジェクト責任者名

松元 亮治

Ryoji Matsumoto

3. プロジェクトの目的

銀河や銀河団のような宇宙構造がどのように形成され、進化してきたか、銀河や星などの中で発生する局所的なエネルギー解放現象が、その周辺環境、さらに系全体にどのような影響を及ぼすかを、重力、磁気、輻射等による相互作用を取り入れたマルチスケール、マルチフィジックスシミュレーションによって明らかにしていく。

4. 今年度当初の計画

  • (1)宇宙論的重力多体シミュレーション:解適合格子法に基づく重力多体シミュレーションコードを用いて、ダークマターがどのように集合合体を繰り返し、銀河や銀河団の骨格を作るに至ったかを10億粒子を用いたシミュレーションによって調べる。この結果をもとに銀河の観測量を計算し、模擬的な銀河のカタログを年度内に完成させる。
  • (2)銀河形成シミュレーション:多層格子法に基づく3次元流体コードを適用することによって計算領域を広げ宇宙の大規模構造スケールまでをカバーする計算を実施する。
  • (3)太陽プラズマダイナミックス:コロナ加熱問題の解決を目指して、太陽対流層から彩層・コロナまでを含むシミュレーションを実施し、磁場とプラズマの相互作用による波動発生からコロナでの散逸と加熱に至る一連の過程の全体像を解明する。
  • (4)重力回転プラズマの輻射磁気動力学:3次元磁気流体シミュレーションコードを適用してブラックホール等に落下する物質が作る回転円盤の進化とジェットの形成に輻射冷却および輻射とプラズマの相互作用が及ぼす効果を明らかにする。

5. 今年度得られた成果、および達成度

成果

計画(1)と(3)のシミュレーションを実施し、以下の成果が得られた。

  • (1)宇宙論的重力多体シミュレーション:昨年度から継続して実施した10億粒子を用いた暗黒物質(ダークマター)分布の進化シミュレーションが11月に終了した。約6TBのデータを取得し、銀河をとりまくダークマターのハローがどのような経歴を経て成長してきたかを示す合体系譜を作成した。これをもとに銀河モデルを用いて観測量を推定し、銀河の観測量と位置、速度情報を含めた数値銀河カタログを作成中である。
  • (3)太陽プラズマダイナミックス:コロナ加熱機構の解明を目的として対流層から光球、彩層、コロナまでを含む領域の3次元磁気流体シミュレーションを行った。その結果、磁場が比較的弱い場合、水平方向磁場が多数浮上することを発見した。これらの水平磁場が彩層で磁気リコネクションを起こし、その結果発生した磁気流体波がコロナに伝播する。これらの現象は昨年度打ち上げられた「ひので」衛星でも観測され、注目されている。水平方向の計算領域を広げたシミュレーションが進行中である。

達成度

(1)80%、(2)30%、(3)65%、(4)30%