乱流の世界最大規模直接数値計算とモデリングによる応用計算
Direct Numerical Simulations of Fundamental Turbulent Flows with the Largest Grid Numbers in the World and its Application of Modelling for Engineering Turbulent Flows
金田 行雄
Yukio Kaneda
銀河や銀河団のような宇宙構造がどのように形成され、進化してきたか、銀河や星などの中で発生する局所的なエネルギー解放現象が、その周辺環境、さらに系全体にどのような影響を及ぼすかを、重力、磁気、輻射等による相互作用を取り入れたマルチスケール、マルチフィジックスシミュレーションによって明らかにしていく。
乱流中の大スケール及び小スケールにおける非等方性の影響を明らかにするため,一様非等方性の大規模DNSを実施し,普遍統計法則を追求する.また、非一様性乱流のカノニカルな問題のDNSについて,チャネル乱流など壁のある乱流の高精度高解像度かつ高効率な解法の追求とES用の最適化を行う.また,大気境界層に関連して,平板上の乱流境界層の世界最高の高レイノルズ数かつ広い計算領域,及び長時間に亘るDNSを実施し,信頼性の高いデータベースを構築する.
応用面では,複合的な乱流場での信頼性が確保されたLESを用いて、実際の都市あるいは地形を対象とした,できるだけ広い領域における高解像度大規模計算を実現する.また,都市境界層を想定し,空間発達型乱流境界層において,比較的大きな粗度の影響(密度,形状,配列パターン)あるいは柔性のある植生効果などを検討し,キャノピー層(ラフネスレイヤー)内も含めた乱流構造を明らかにする.また,大都市のビルにおける冷暖房システムの省エネを目的として,平行平板間乱流DNSにおいて,界面活性剤を模擬し,抵抗低減メカニズムの解明と伝熱性能の評価を行い,実規模のビル省エネ実験に貢献する.
非一様性乱流のDNSでは、高精度高解像度かつ高効率な解法の追求を行い、乱流の特性(コルモゴロフの散逸長さの壁からの距離依存性)を積極的に取り入れた高精度・高解像度数値計算により、従来のフーリエ・チェビシェフタウ法よりレイノルズの高い乱流場が計算できる可能性を見出した.また、非一様性乱流場DNSのプロトタイプとなる平行平板間乱流のDNSコードのES用最適化を試み、64ノード並列が可能なベクトル化率と並列化率を実現した.また、非等方性乱流として、一様磁場中のMHD乱流の大規模DNSの予備計算を実施し、大規模渦の普遍統計法則についての新たな知見を得た.
さらに乱流境界層のDNSにおいても、ベクトル化,並列化ともに目標を達成し,64ノードでの計算が進行中である.計算は順調に進行し,低次の乱流統計量に関してはほぼ収束し,カルマン定数などのもっとも基本的な乱流特性を,確定することが出来つつある.さらに統計精度を向上し,かつより高次の統計量を求めるために,現在も計算が進行中である.また,世界的にもはじめて,数値シミュレーションによって,十分高いレイノルズ数の乱流境界層における外層に達する大規模な準秩序構造を捕捉することに成功した.
応用では,境界層のスケールと比べて十分に小さなラフネスを対象に大気境界層を模した世界最大級の乱流境界層計算を行い,キャノピー層ならびにラフネス上空に形成される乱流構造について,都市を模した比較的大きなラフネスによる乱流構造変化を明らかにした. 抵抗低減メカニズムの解明のための平行平板間乱流DNSではコードのベクトル化率の改善を終え、現在ES用に最適化中である.