耐放射線性SiCデバイス用酸化膜の第一原理分子動力学シミュレーション
First-principles molecular dynamics simulation of oxide layers for radiation-tolerant SiC devices
宮下 敦巳
Atsumi Miyashita
SiC半導体デバイスは、耐放射線にすぐれ、高電圧・高温での動作が可能なことから、従来の半導体デバイスでは動作が困難な極限環境下で用いられる素子として期待されている。しかしながらSiCデバイスの特性を左右する酸化膜界面には界面欠陥が多く存在しており、理論的に予測されるより悪いデバイス特性しか実現できていない。第一原理分子動力学法を用いて実デバイス界面を模擬出来るようなアモルファスSiO2/SiC界面欠陥構造を計算機上に生成し、電子構造を算出することで界面欠陥の物理構造と電気特性との関連性を明らかにすると共に、SiC結晶表面の酸化膜成長メカニズムを明確にする。
界面構造生成に伴って発生した欠陥構造等の電子構造を計算することにより、各種の欠陥構造の違いによる電子構造への影響を導出する。また、従来のように真空層を持つモデルではなく、表面を持たない事で荷電状態導出に使える界面構造の生成法を確立する。
界面構造への酸素導入による酸化反応模擬計算を、界面の構造や反応温度等のパラメータを変えて行い、条件の違いによる酸化反応及び欠陥生成メカニズムの違いを導出する。
1000原子規模の界面モデルを用いたアモルファスSiO2/SiC界面モデル生成における加熱・急冷計算で、室温までの冷却速度を-2000K/psから-500K/psまで遅くすることにより、界面における欠陥構造が緩和される事が分かった。SiO2構造をSiC構造で挟んだサンドウィッチ構造を用いた加熱・急冷計算により、荷電状態導出が可能な界面構造を導出できる見通しが付いた。また、SiO2/SiC界面構造におけるSiCの界面よりがSi面の時とC面の時とで酸化反応の違いを計算し、C面が界面よりの場合の方がSi面が界面よりの場合より酸化速度が速くなる原因を突き止めた。
80% (計算コード開発の遅れから欠陥準位補計算が出来なかったため)