巨大蛋白質の高次構造変化のリアルなシミュレーション
Realistic simulations for structural changes of very large proteins
斎藤 稔
Minoru Saito
酸素分子の脱着に伴うヘモグロビンの高次構造変化は、結晶中の知見を基に議論されてきた。実際の環境(水中)での構造はわかっていない。我々の目的は、水中におけるヘモグロビンの高次構造変化を、計算機シミュレーションによって明らかにすることである。
我々の計算から、酸素結合T構造 (不安定構造) のヘモグロビンを構成する二つのダイマー (α1β1-α2β2) 間の距離は、水中では、結晶中よりも2Åよけいに離れていることが示された。今年度は、この結果が計算固有の誤差でないことを示すために、酸素結合R構造 (安定構造) のシミュレーションを水中で行う計画であった。
酸素結合R構造 (安定構造) のシミュレーションを、水中で15ナノ秒行った。その結果、期待していたように結晶中の構造が水中でも安定に保たれた。第1 の目的は達成された。更に、酸素結合R構造(安定構造)を不安定にするようなアミノ酸置換が施され た変異体 (β鎖W37S) について、シミュレーションを行っている。ヘモグロビンを構成する2個のダイマー間 (α1β1-α2β2)の距離は、変異体では天然体よりも約0.5Åよけいに離れていたが、有意な差とはいえない。長時間のシミュレーションを行う必要がある。
達成度 60%