実地球環境での地球磁場・変動シミュレーション
Simulation study on the generation and distortion process of the geomagnetic field in Earth-like conditions
浜野 洋三
Yozo Hamano
マントルとコアからなる地球システム全体の活動の実態解明を目的として、磁場とその変動に関わるシミュレーション研究を行う。具体的には以下の2課題から構成される。(1) コアでの磁場生成に寄与するダイナモ過程の高精度シミュレーションを行い、地球磁場の起源を解明し、磁場変動の原因を明らかにする。さらに現在のコアの動的状態を把握し、将来的な磁場変動の予測につなげる。(2) 3次元的な電気伝導度の不均質を持つ地球の電磁誘導過程のシミュレーション研究により、マントル深部の電気伝導度の不均質性を明らかにする。マントル対流のシミュレーション研究の結果等と総合することにより、地球のマントルが地球進化過程において現在どのような段階にあり、将来どのように発展していくかを明らかにすることをめざす。
低いエクマン数 (E≤10-6) 及び高いレイリー数 (Ra=109程度)でのMHDダイナモシミュレーションを高解像度で実施することにより、地球コア内での磁場生成プロセスを再現、理解する。シミュレーション結果を詳細に解析することにより、コアの乱流状態とダイナモ過程で生成される磁場変動との関係を明らかにする。また地球外核を模した回転球殻ダイナモに対して、scale similarity の仮定にもとづく乱流モデルを構築する。以上の数値モデリングに対して、われわれのグループの一部が別におこなっている液体金属の熱対流実験との比較をおこなう。
エクマン数を5x10-7とした高解像度地球ダイナモモデルのシミュレーションを、コア表面での熱フラックスに基づくレイリー数にして最大6.4x1010まで系統的に変えて実施した。スペクトル切断波数は水平方向に最大320次、鉛直方向に最大200次とった。また磁気プラントル数を0.2まで下げることで、より現実の地球に近いパラメータ領域に迫ることに成功した。コア・マントル境界での温度境界条件を熱フラックス一様とすることで、これまでの温度固定を仮定したシミュレーションでは知られていなかった、大規模対流構造と強い双極子磁場をもった数値解を得ることに成功した。赤道域に卓越するパッチ状の磁束の西方移動や地磁気ジャークに似た磁場の短周期変動などがみられ、現実の地磁気変動の理解に対して大きな進展を予期させる結果を得た。球殻乱流ダイナモのscale similarityモデルに関しては、平均操作を動径方向だけでなく緯度方向にもおこなうことにより、直接数値シミュレーション結果から期待される、大きな乱流運動量流束と乱流熱流束を得ることができた。室内実験との比較に関しては、現在磁場をかけた熱対流実験のデータが得られつつあり、今回得られた低エクマン数・高レイリー数の数値シミュレーション結果の物理的解釈に寄与することが期待される。
低エクマン数・高レイリー数ダイナモシミュレーションに関しては、これまで知られていなかった、より地球の特徴を反映した解を得ることができたという点で、達成度は高く、80%程度と考えられる。他の課題については、まだ最終的な目標に達したとはいえず、30%程度の達成度と考えられる。