平成20年度 地球シミュレータ利用報告会
1. プロジェクト名
マントル対流の数値シミュレーション
Numerical simulation of the mantle convection
2. プロジェクト責任者名
深尾 良夫
Yoshio Fukao
3. プロジェクトの目的
諸々の地学現象の原動力であるマントルの活動を支配する物理を解明し、地球進化の過程と地震波などで観測されるマントル内部の構造とを再現するモデルを構築する。
4. 今年度当初の計画
- A) 部分領域モデル:マントル構成鉱物に特有の様々な複雑性や海溝の後退する現象を組み込んで、プレートの沈み込み領域とその周辺に限定した2次元および3次元のモデルを構築する。沈み込んだプレートのマントル遷移層での挙動に注目し、「スタグナントスラブ」が形成されるメカニズムを解明する
- B) 全球モデル:部分領域モデルより簡略化した複雑性の扱いにより、3次元球殻での長時間シミュレーションを可能にする。自発的に沈み込み領域が形成されるよう降伏応力を設定し、自然に発生する対流パターンのスケールを調べるとともに、スラブの滞留と崩落に関係した時間スケールを明らかにする。
5. 今年度得られた成果、および達成度
成果
- A) 部分領域モデル:深さ660km境界での粘性ジャンプ、海溝後退、海洋地殻物質に限定した降伏、などの複雑性を考慮した矩形領域モデルをさらに発展させた。これを用いた系統的なシミュレーションにより、海溝後退や粘性ジャンプがスタグナントスラブの形成に重要であることが3次元モデルでも確認されつつある。
- B) 全球モデル:表面付近での降伏現象と粘性の温度依存性の効果により、実際の地球に見られるような長いスケールのプレートと局在化した沈み込み領域の再現に成功した。長時間の積分から、深さ660km境界でのマントル鉱物の相転移と粘性ジャンプの両者の効果で、沈み込んだスラブは一旦滞留して崩落するということを繰り返すことが明らかとなった。このような現象を従来より2桁程度高いレイリー数領域(ほぼ地球マントルに相当)まで確認した。
達成度