平成20年度 地球シミュレータ利用報告会

DEMによる内部構造を持つ複雑多相系の粒子モデル

発表資料 (1.9MB)

1. プロジェクト名

DEMによる内部構造を持つ複雑多相系の粒子モデル

Particle modeling for complex multi-phase system with internal structures using DEM

2. プロジェクト責任者名

阪口 秀 (IFREE/JAMSTEC)

Hide Sakaguchi

3. プロジェクトの目的

本プロジェクトは、粒子性物質が気相、液相、固相と混在している場で, 内部構造を作りながら複雑な振る舞いを示す系に対して、粒子系離散モデル(DEM-Discrete Element Method)と粒子系-連続体カップリングモデルを構築し、複雑多相系現象の解明と解析、予測に役立てることを目的としている。

4. 今年度当初の計画

平成20年度は,平成19年度に行なった血流のマルチスケールシミュレーションを発展させ,狭窄や分岐管のある複雑な流れ場における血流問題について取り組む.また,赤血球が硬化した場合や赤血球動同士が吸着する場合をシミュレートすることにより,血球がクラスターを形成する過程や病的な状態における赤血球の流動挙動が流動疎外に与える影響を明らかにし,様々な赤血球症の解明につなげる.

5. 今年度得られた成果、および達成度

成果

2007年度は以下の3点について検討した.

  • (1) 赤血球流動の計算を長時間に渡って行うことにより血球流動パターンの変化していく様子について検討した.これにより,ランダムに配置された赤血球が,ポアズイユ流が発達した直円管内で,流れに沿ってどのように振舞うのかについて明らかにした.
  • (2) 赤血球の容積率(ヘマトクリット)を生体内に近い35%まで上げて赤血球流動の計算を行い,ヘマトクリットが赤血球流動に与える影響について検討した.
  • (3) 平成19年度に試みた血流のマルチスケールシミュレーション手法を完全に確立し,収束解を得られるまで計算を行うことにより,血液が非ニュートン的流体として振舞うメカニズムについて解明を試みた.

達成度

本年度は予め想定していた目標の70%程度の達成率である.今年度は,上記の計算に加えて,様々な血管形状内での赤血球流れや,赤血球が変性した場合についてもシミュレーションを行う予定であったが,上記全ての研究が物理的に時間を要するものであったため地球シミュレータリソースを大きく消費してしまい,他のシミュレーションを行うことができなかった.