平成20年度 地球シミュレータ利用報告会
1. プロジェクト名
宇宙の構造形成とダイナミックス
Cosmic Structure Formation and Dynamics
2. プロジェクト責任者名
松元 亮治
Ryoji Matsumoto
3. プロジェクトの目的
銀河や銀河団のような宇宙構造がどのように形成され、進化してきたか、形成された銀河や星などの中で発生する局所的なエネルギー解放現象が、その周辺環境、さらに系全体にどのような影響を及ぼすかを、複数の階層を計算領域に含め、重力、磁気、輻射等による階層間相互作用を取り入れたマルチスケール、マルチフィジックスシミュレーションによって明らかにしていく。
4. 今年度当初の計画
- (1) コロナ加熱:宇宙物理学の最重要課題のひとつであるコロナ加熱問題の解決を目指して、太陽対流層から彩層・コロナまでを含む磁気流体シミュレーションを実施し、磁場とプラズマの相互作用による波動発生からコロナでの散逸と加熱に至る一連の過程の全体像を調べる。
- (2) 降着円盤:冷却不安定性の成長過程をシミュレートし、状態遷移からジェット形成に至る過程を明らかにする。
- (3) 銀河形成:領域を広げたシミュレーションを実施する。
5. 今年度得られた成果、および達成度
成果
- (1) コロナ加熱:太陽コロナの加熱と太陽風の加速メカニズムの解明を目的として、対流層からコロナまでの領域を含む領域の三次元磁気流体シミュレーションを行った。今年度はコードの改良と共に磁場の強さをかえたパラメータサーベイを進めた。その結果、磁場が弱い場合は乱流磁場の磁気リコネクションにより高周波(>0.1Hz)の波が発生するが、磁場が強く乱流磁場が発生しない場合は、コロナへ伝わる波は対流と同程度の低周波(<0.01Hz)の波しか発生しないことがわかった。波のスペクトルはその散逸メカニズムと密接に関係しているため、我々の結果は、磁場の強さによりコロナ加熱、太陽風加速のメカニズムが変わりうること、彩層での磁気リコネクションと波動の発生が重要な役割を果たすことを示唆する。
- (2) 降着円盤:シミュレーションエンジンをHLLD+CT法に変更したコードのテストを実施した。
- (3) 銀河形成:これまでのシミュレーション結果のポストプロセッシングによる解析を進めた。
達成度
- コロナ加熱:50%
- 降着円盤:20%
- 銀河形成:20%