ドラッグデリバリシステム(DDS)の大規模・ソフトマテリアル・シミュレーションに関する研究
Large-scale Softmaterial Simulation on Drug Delivery System
宮内 敦 (財団法人高度情報科学技術研究機構)
Atsushi Miyauchi
DDS(ドラッグデリバリシステム)のバイオソフトマテリアル的な現象の解明に大規模シミュレーションを導入する。本研究ではDDSの構造及び機能に着目し、先ず中核となる目的遺伝子の凝縮特性の把握、次に目的遺伝子をポリエチレングリコールで包む高分子ミセル構造の最適設計、さらにDDSを標的疾患部へ的確に輸送し、かつ薬理的作用を発現させるまでの薬物動態及び薬理効果を実現する分子機械設計を目的とする。これらの設計シミュレーションを薬理、臨床実験へフィードバックし、DDS開発の助けとする。
今年度は原子数 ~1,000,000でDNA凝縮の本格的な計算を実施する。凝縮メカニズムへの新たな知見を得ることで研究の完了とする。
今年度はポリエチレングリコール-遺伝子ベクターのミセル化過程において、オリゴ核酸、チオール基など化学修飾基の付加特性を把握する。これをもってPEGミセルの分子機械設計シミュレーションに関する基礎技術を確立したと考え、研究完了とする。
今年度は原子数~1,000,000でミセルの自己組織化シミューレションの本格的な計算を実施する。また、DDS製剤の薬物動態に適合する分子機械設計シミュレーションを行い、開発における課題解決に寄与する。さらに、超大規模シミュレーションに向けたモデル、及びシミュレーション技術の評価を行なう。
今年度はポリエチレングリコールとポリアスパラギン酸=ジエチレントリアミンの重合体(PEG-pAsp(DET))について、コレステロール付加によるミセル凝縮能向上の可能性をシミュレートすることに注力した。PEG-pAsp(DET)は昨年まで対象としていたPEG-PLLよりも近年に提案された化合物であり、より実際のDDS開発フェーズに沿った研究と言える。計算には古典分子動力学パッケージAMBERを用い、水環境中に8分子を置き、その挙動を1ns(100万計算ステップ)まで追跡した。その結果、両者には目立って大きな違いは観察できなかったが、コレステロールの付いたPEG-pAsp(DET)-Choleの方が、幾分凝縮し易い傾向があると認められた。
今年度はDNA凝縮に関わる量子論的計算は実施できなかった。 達成率 0%。
コレステロール修飾によるミセル凝縮化についてシミュレーションを実施し、限定的ではあるがその効果を調べるところまで到達した。より信頼できる結果を得るには、さらに体系が大きくし、計算時間も増やす必要がある。達成率 90%。
今年度は薬物の体内挙動に関わる計算は実施できなかった。 達成率 0%。