平成20年度 地球シミュレータ利用報告会

高頻度経済データの経済物理学解析

発表資料 (1.2MB)

1. プロジェクト名

高頻度経済データの経済物理学解析

Econophysics Analysis of High Frequency Economic Data

2. プロジェクト責任者名

高安 美佐子

Misako Takayasu

3. プロジェクトの目的

日本国中の企業約100万社の取引関係のネットワーク構造の解析を継続する。複雑なネットワーク構造を特徴付ける手法としては、隣接行列から経済ネットワークの特徴抽出を行い、現実の経済システムのネットワーク構造の安定性の検証、脆弱ポイントの発見などに注力する。

4. 今年度当初の計画

平成20年度では、100万×100万の隣接行列を有効に活用したネットワーク構造の踏み込んだ特長抽出を実行する。

  • 1 : ネットワーク中心性の解析
  • 2 : ネットワーク可視化の研究
  • 3 : 隣接行列を活用したモチーフ解析

5. 今年度得られた成果、および達成度

成果

ネットワーク中心性の解析に関しては、まず、任意の企業間の距離を表す距離行列(約100万×100万の成分を持つ)を計算した。これに基づいて、お互いにネットワークを介して行き来ができる強連結成分を抽出した。その結果、全国の企業ネットワークだけでなく、業種分類しても地域ごとに分類してもひとつだけ突出したサイズの強連結成分が存在することが明らかになり、さらに、強連結成分に属す企業の成長率はそれ以外の企業の成長率よりも大きいことがわかった。

ネットワーク可視化に関しては、電荷を持つ質点によって企業を表し、取引のある企業同士をバネで連結することによって企業ネットワークの物理モデルを用意した。その結果、3次元空間の中に全国の企業ネットワーク構造を可視化することができ、様々なクラスター構造を構成していることがわかった。

ネットワークのモチーフ解析に関しては、3体の相互作用を表現するモチーフ全てについて、ランダムな場合の平均値と比較して、どのようなモチーフが多いのかをしらみつぶしに調査し、また、どのようなモチーフが企業の成長率などの重要なパラメータに影響を与えているのかを調査した。

達成度

  • 1 : ネットワーク中心性の解析 : 100%
  • 2 : ネットワーク可視化の研究 : 80%
  • 3 : 隣接行列を活用したモチーフ解析 : 80%