巨大蛋白質の高次構造変化のリアルなシミュレーション
Realistic simulations for structural changes of very large proteins
斎藤 稔
Minoru Saito
酸素分子の脱着に伴うヘモグロビンの高次構造変化は、結晶中の知見を基に議論されてきた。実際の環境(水中)での構造変化はわかっていない。我々の目的は、水中におけるヘモグロビンの高次構造変化を、計算機シミュレーションによって明らかにすることである。
我々のこれまでの計算から、酸素結合T構造(不安定構造)のヘモグロビンを構成する二つのダイマー(α1β1-α2β2)間の距離は、水中では、結晶中よりも2Åよけいに離れていることが示された。一方、酸素結合R構造(安定構造)は、短時間のシミュレーションの間、結晶中の初期構造が水中でも安定に保たれることが示された。今年度は、シミュレーションを45ナノ秒まで延長することによって、我々のシミュレーションが信頼できることを示す。また、我々の新しい四次構造変化の仮説を実証するために、第三の四次構造状態に対してシミュレーションを行う。
酸素結合R構造(安定構造)のシミュレーションを、水中で45ナノ秒まで延長した。その結果、期待していたように結晶中の構造が水中でも安定に保たれた。第1の目的は達成された。更に、我々の新しい四次構造変化の仮説を検証するために、第三の四次構造状態として酸素解離T構造(安定構造)のシミュレーションを行った。20ナノ秒まで実行したところでCPU時間を使い切った。はっきりした結論を得るには、45ナノ秒までシミュレーションを延長する必要がある。
達成度 60%