平成21年度 地球シミュレータ利用報告会

全地球弾性応答シミュレーション

発表資料 (1.1MB)

1. プロジェクト名

全地球弾性応答シミュレーション

Global elastic response simulation

2. プロジェクト責任者名

坪井 誠司 (海洋研究開発機構・地球内部ダイナミクス領域)

Seiji Tsuboi

3. プロジェクトの目的

地震波形インバージョン解析による地球内部三次元構造推定のために、グローバルスケールの三次元速度構造を考慮した高解像度波動伝播シミュレーションを行う。

4. 今年度当初の計画

これまで地球シミュレータで用いていたコードをES2上で最適化することを最初の目標とし、ノード制限を解除して可能な限り高精度の理論地震波形を計算可能とする。最適化の状況に応じて地球内部構造研究のための理論地震波形計算を実施する。

5. 研究計画に沿った利用状況度

今年度上半期には、昨年度まで用いていたコードの最適化を地球シミュレータセンターの協力もあり終了することが出来た。それにより、ES2の127ノードを用いて周期3秒の精度で現実的な3次元地球モデルに対する理論地震波形計算を実施することが出来た。そのときの実行効率は20%程度である。127ノードの計算が実施できなくなった下半期では、91ノードでメモリ使用量を増やすことで3.5秒程度の計算が実施できることが分かったが、ジョブの実行までに2週間程度待たされる状況となっている。理論地震波形計算のためのコードは新バージョンがあり、その最適化をやはり地球シミュレータセンターの協力の下で実施している。

6. 今年度得られた成果、および達成度

成果

  • (1) これまでに発見した、パプアニューギニアの地震をアメリカ南部の観測点でとらえたSdiff回折波の顕著な後続波に対して、Spectral Element Methodを用いて理論波形を計算し、観測波形の走時差と極性をよく説明する理論波形を複数のモデルから得た。この波形は、コア-マントル境界の局所的な超低速度領域と、それよりも規模の大きな低速度領域の二種類の低速度領域を組み合わせることにより説明できる。このような構造は、コア-マントル境界における化学組成不均質の存在を強く示唆する。
  • (2) 地震の震源の対蹠点で観測した地震波形に見られる顕著な波を、内核-外核境界に地震波速度異常を導入した地球モデルにより、定性的に再現できることを確認した。

達成度

  • (1) 既存コードの最適化 100%
  • (2) 新しいコードの最適化 80%
  • (3) 地球内部構造モデルに対する理論地震波形計算 80%

8. 研究成果一覧 (投稿中の論文、予定講演の場合はその旨記載のこと)

a. 原著論文 (査読あり)

  • Seiji Tsuboi, Yasuko Yamagishi, Hiromichi Nagao, Takeshi Nakamura, High temperature barrier on the fault controls rupture direction of the 2008 Wenchuan earthquake, submitted to Earth Planet. Sci Lett., 2009

b. 学会等発表 (ポスターセッションの場合はその旨記載)

  • 日本地震学会 P3-43 太平洋広域低速度領域北端の波速度構造 藤亜希子・深尾良夫
  • 2009 AGU Fall Meeting, 14-18 December, in San Francisco, California
    ・DI23A-1669 Structure of northern edge of the Pacific large low shear velocity province
  • A. To; Y. Fukao (ポスター)
    ・U51C-0036 Antipodal Observations of Earth’s Core
  • R Butler, S Tsuboi (ポスター)