平成21年度 地球シミュレータ利用報告会

第一原理計算による転位、粒界を含む鉄材料中の水素挙動

発表資料 (833KB)

1. プロジェクト名

第一原理計算による転位、粒界を含む鉄材料中の水素挙動

First principles calculation on hydrogen diffusion behavior in iron with a dislocation and grain boundary

2. プロジェクト責任者名

蕪木 英雄 (日本原子力研究開発機構)

Hideo Kaburaki

3. プロジェクトの目的

鉄鋼材料の水素脆化機構をミクロレベルから解明することを目指し、BCC(体心立方格子)鉄(α鉄)中の水素状態、拡散挙動を第一原理計算により求める。この問題を解決するための本質的な現象として、結晶格子中水素原子の転位及び粒界における「パイプ拡散」機構の解明を行い、最適拡散経路の探索、鉄欠陥中の水素移動エネルギーを決定する。

4. 今年度当初の計画

昨年度まで使用していたらせん転位を2本入れた体系を、転位芯方向を長くするため1本に変更して計算する。それに伴い適用する境界条件の検討を行う。この条件下でらせん転位周辺又は転位芯領域に水素原子を挿入し、最適な格子間サイト及びこのサイトからの最適な拡散経路の探索を行う。

5. 研究計画に沿った利用状況度

計算体系を変更したため、境界条件の妥当性の検証に時間を要した。そのため、この期間の利用が進まなかった。しかし、境界条件等が決定出来た後は利用が順調に進んでいる。

6. 今年度得られた成果、および達成度

成果

昨年度までは2本のらせん転位を入れた体系を用いてきたが、今年度から転位芯方向の長さを確保するため1本のらせん転位を用いた鉄原子の体系により水素拡散経路探索のための第一原理計算を行った。使用した鉄原子の総数は200個で、らせん転位芯方向に2層とり、54個の原子の緩和計算を行った。他の原子はらせん転位の弾性論解に従った変位に固定した。第一原理計算におけるk点は1x1x4、収束は原子にかかる力が0.01 eV/Å以下として、らせん転位周辺及び芯方向における水素拡散挙動が可能なことを示した。

 鉄中水素の経験ポテンシャルを用いた大きな体系の分子動力学計算であらかじめらせん転位周辺の水素拡散経路を求め、それに沿って第一原理計算により拡散の障壁エネルギーを決定した。今までは、転位芯方向に水素が高濃度に詰まった状態しか決定出来なかったが、水素導入による転位芯領域の原子配置の変化を拘束する条件を入れることによって、低濃度極限の水素拡散状態を見積もることが可能になった。

達成度

 95%
計画した主要な目的はほぼ達成した。後はこれらの結果の確証計算を実施する。

8. 研究成果一覧 (投稿中の論文、予定講演の場合はその旨記載のこと)

現在のところ、なし。(論文投稿予定。)

a. 原著論文 (査読あり)

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b. 原著論文 (査読なし、および雑誌等寄稿)

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c. 学会等発表 (ポスターセッションの場合はその旨記載)

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d. 講演

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e. 新聞、雑誌での掲載記事

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