平成21年度 地球シミュレータ利用報告会

高速増殖炉燃料集合体サブチャネル内ナトリウム冷却材の乱流シミュレーション

発表資料 (5.6MB)

1. プロジェクト名

高速増殖炉燃料集合体サブチャネル内ナトリウム冷却材の乱流シミュレーション

Numerical simulation of turbulent sodium flows in subchannels of an LMFBR fuel subassembly

2. プロジェクト責任者名

二ノ方 寿 (東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学専攻)

Hisashi Ninokata

3. プロジェクトの目的

複雑形状流路内乱流熱伝達および流動現象を解明するとともに、高速増殖炉の燃料集合体熱流動設計に必要な熱流動データをDNSおよびLESの大規模数値シミュレーションによって求め、計算によるSimulation-Based Design Technologyの基礎を確立する。

稠密格子燃料集合体内非等温場自然対流条件下の乱流熱流動現象のLESを実施する。とくに、ナトリウム冷却高速増殖炉炉心燃料集合体に特有な稠密格子配列に代表される複雑形状流路内乱流に対し、境界適合型座標系におけるLESおよび必要に応じてDNSを実施し、熱移行を伴う壁乱流の微細構造を解析するとともに、実験で得ることが困難な低レイノルズ数領域から高レイノルズ数領域にわたる燃料集合体内熱流動乱流データベースの構築を行い、計算によるSimulation-Based Design Technologyの基礎を確立する。

4. 今年度当初の計画

初年度:非等温乱流場のLESを行うSPARKLE-ENERGYのコード設計・開発・機能検証と実験

検証を開始する。過去3年間にわたって地球シミュレータ上で開発したDNSおよびLESによる等温場乱流計算のin-houseコードSPARKLE-DNSにエネルギー保存方程式を追加したSPARKLE-ENERGYを開発し、非等温乱流場のLESを可能とする。本コードをベンチマーク解がある加熱二重円環などの単純な形状流路問題に対し適用してコード検証を行う。

2年度:初年度に対象とする形状流路内乱流について、主流方向に加熱長全体を計算体系として

設定し、SPARKLE-ENERGYによるLESを実施する。

3年度:徐々に流れのレイノルズ数を増加させたケースについて、各種燃料集合体流路内の低プ

ラントル数流体温度場をSPARKLE-ENERGYによって計算し、自然対流現象を分析して自然循環による原子炉炉心冷却の機構論的モデル化に必要な情報を得る。

5. 研究計画に沿った利用状況度

今年度は、SPARKLE-DNSへのエネルギー保存式解法組み込みおよび機能検証計算が中心で、本格的な実験検証計算、ナトリウム冷却高速増殖炉稠密格子燃料集合体への大規模応用計算を実施するに至らず、許可されたノード時間を殆ど消費できなかった。

6. 今年度得られた成果、および達成度

成果

  • a. LESを非等温場に適用して浮力が卓越する流れ場の解析を可能とするSPARKLE-ENERGYを開発した。本LESを、加熱された円環流路内の流れやサーモサイフォンに適用し、ベンチマーク実験と比較して検証した。なお、サーモサイフォンとは一般的に、ドーナツ状の流路の一部を加熱して対流を引き起こす現象である。本手法によって初めて実炉の自然循環除熱が高い信頼性をもって実施できる見通しが得られた。成果は国際会議で発表された。[10], [11]
  • b. 本研究の目的である稠密配列燃料集合体のSimulation-Based Design Technologyによる熱流動設計法の基礎を確立に向けた研究を開始した。燃料集合体は通常、円柱棒(ピン)状の燃料が三角配列された束として構成される。しかしながら、円柱であるために、燃料と燃料の間隙が極端に狭くなり伝熱流動の観点から好ましくない。この欠点を打破するために本研究では円柱状にとらわれない、燃料と燃料の間隙部がほぼ一様となるような異形の燃料棒を考案し提案した。このような燃料集合体内の流路を流れる流体の挙動をSPARCLE-ENERGY (LES)とURANSによって解析した結果、より平坦な流速分布および温度分布が得られることを示し、その結果炉心設計における安全祐度の増大が達成されることを明らかにした。成果は国際会議で発表された。[8],[9]

達成度

  • a. 浮力が卓越する非等温場における乱流のLES解析コードSPARCLE-ENERGYの開発・機能検証:90%
  • b. SPARCLE-ENERGYを用いた二重円環加熱流の流れおよびサーモサイフォン計算によるコード検証:80%

8. 研究成果一覧 (投稿中の論文、予定講演の場合はその旨記載のこと)

a. 原著論文 (査読あり)

  • Elia Merzari, Azizul Khakim, Hisashi Ninokata, Emilio Baglietto, “Unsteady Reynolds-averaged Navier-Stokes: toward accurate prediction of turbulent mixing phenomena”, International Journal of Process Systems Engineering, Vol. 1, pp. 100-123 (2009)

b. 原著論文 (査読なし、および雑誌等寄稿)

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c. 学会等発表 (ポスターセッションの場合はその旨記載)

  • E. Merzari, E. Baglietto and H. Ninokata, “Large Eddy Simulation of the Flow in a T-junction”, ICAPP 2009, Tokyo, Japan, May 2009 (査読あり)
  • E. Merzari, I.C. Bang and H. Ninokata, “Numerical Simulation of the Flow in a Natural Circulation Loop with Nanofluids and Differential Heating”, ICAPP 2009, Tokyo, Japan, May 2009(査読あり)
  • Merzari and H. Ninokata, “Proper Orthogonal Decomposition of the Flow in a Rod-Bundle”, NURETH-13, Kanazawa, Japan, September 2009 (査読あり)
  • Merzari and H. Ninokata, “Large Eddy Simulation of the Flow in Tight-Lattice Rod Bundles at Low Reynolds number” ASME FEDSM 2009, Vail, USA, August 2009 (査読あり)
  • A. Khakim, E. Merzari and H. Ninokata, “Feasibility study of the application of exotic pin for tight-lattice fuel assembly” ANS annual meeting 2009, Atlanta, USA, June 2009 (査読あり)
  • E. Merzari and H. Ninokata, “A priori test of the flow in an annular channel with differential heating at the walls” ASME FEDSM 2009, August 2009 (査読あり)
  • E. Merzari, “Direct Numerical Simulation of Bouynacy driven flows for Nuclear Applications” ANS winter meeting 2009, Washington DC, USA, November 2009 (査読あり)

d. 講演

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e. 新聞、雑誌での掲載記事

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