平成22年度 地球シミュレータ利用報告会

大規模科学計算向け汎用数値ソフトウェア基盤の開発

発表資料 (924KB)

1. プロジェクト名

大規模科学計算向け汎用数値ソフトウェア基盤の開発

Development of General Purpose Numerical Software Infrastructure for Large Scale Scientific Computing

2. プロジェクト責任者名

西田 晃 (九州大学・情報基盤研究開発センター)

Akira Nishida

3. プロジェクトの目的

本研究では,線型計算,高速関数変換,及びその効果的な計算機上への実装手法の三分野を中心に,大規模化が予想される今後の計算環境に対応したスケーラブルなソフトウェア基盤を整備することを目指し,多様な計算機環境に対応したライブラリの開発を進めている.線型計算に関する研究では, 反復解法を中心に研究を進め,これらの拡張について多数の提案,発表を行うとともに,オブジェクト指向型の並列反復解法ライブラリ Lis (A Library of Iterative Solvers for Linear Systems) を開発し,国内外の多くの研究機関,企業で利用されている.また,高速関数変換に関する研究では,オートチューニング機能を備えた高速フーリエ変換ライブラリ FFTSS を開発し,多様なアーキテクチャ上で高い性能を得ており,Intel, IBM 等の商用ライブラリ,MIT の開発する FFTW 等と比較してより優れた性能を記録している.これら2ライブラリについては地球シミュレータ対応版の開発を完了し,実問題を用いた性能評価の段階にある.また,Lis については平成19年10月より地球シミュレータ対応版,また平成20年11月より NEC SX-9 対応版を公開している.実装手法に関しては,数値ライブラリの利用を目的とした高い抽象度を持つユーザインタフェース SILC (Simple Interface for Library Collections) を開発し,並列環境で使用可能なスクリプト言語として,国内・国際特許出願を行なうとともに,その成果を発表している.SILC については既にMPI対応を実現しており,地球シミュレータを含む並列ベクトル計算環境に対応したバージョンを完成し,配布する予定である.本研究では新規アルゴリズムの実装,性能評価を主な目的としているため,計算資源について最大128ノードでの実行を予定している他は,既定の資源量で問題ないと思われる.ノード時間については区分4の範囲内で,平成21年度に引き続き1年間研究を実施する予定である.

4. 今年度当初の計画

本研究では新規アルゴリズムの実装,性能評価を主な目的としているため,計算資源について最大128ノードでの実行を予定している他は,既定の資源量で問題ないと思われる.ノード時間については区分4の範囲内で,平成21年度に引き続き1年間研究を実施する予定である.

5. 研究計画に沿った利用状況

今年度は,地球シミュレータセンター及び九州大学の計算機環境を利用したライブラリ開発,および疎行列ベクトル積の演算性能を利用した性能予測手法に関する研究を行った.

6. 今年度得られた成果, および達成度

成果

今年度は昨年度に引き続き並列反復解法ライブラリ Lisの開発を実施するとともに,Lis への適用を目的として,複数アーキテクチャ上での疎行列ベクトル積の事前性能評価の妥当性について検討した. 疎行列ベクトル積の性能は,行列の形状,並列化手法,メモリの階層構造等によって大きく性能が変化するため,すべての場合に最適な解法を見出すのは難しい.本研究では,地球シミュレータセンター及び九州大学情報基盤研究開発センターの複数の計算機環境を利用し,Lis 上に実装した疎行列ベクトル積ベンチマークプログラムを用いた事前性能評価が可能であることを示した.

達成度

70%

7. 計算機資源の利用状況

計算機資源の利用状況

※計画的に計算機資源を利用できているか, 状況を記載してください.

今年度前半は基礎的な研究が中心となったため,主に九州大学に設置された計算機環境を用いてデータを取得した.大規模ジョブでの性能評価は年度後半を予定している

チューニングによる成果

※ベクトル化, 並列化チューニング等, 計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください.

ベクトル化,並列化についてはすでに完了しており,ライブラリとして配布している.今年度はさらに発展的なチューニング手法として,ベンチマークプログラムを用いた事前性能予測手法について研究を行い,効果を検証した.

計画的に利用できていない場合, その理由