実大鉄筋コンクリ-ト造建物の振動台実験の精密・詳細シミュレ-ション解析システムの開発
Developments of Sophisticated Simulation Analysis Method of Actual Reinforced Concrete Building by Shaking Table Test
河西 良幸 (前橋工科大学大学院工学研究科 環境・情報工学専攻)
Yoshiyuki Kasai
実大鉄筋コンクリ-ト造6階建建物の震度6強相当の振動台実験での建物破壊状況の結果を例に, 架構各部材の構成をフルモデルで数値設定し, 衝撃解析プログラムを応用して精密・詳細なシミュレ-ション解析システムを構築する. これにより建物の破壊状況を各部材内部まで可視化して確認可能にする. この実大実験との比較解析をもとに, 数値振動実験をシミュレ-ション解析システム上で行えるように関連する数値構成則の詳細構築を行う. これにより, 建物の重要な因子を変化させた数値振動実験が実施でき, 耐震性の確認と今後必要な実大実験等にかかる膨大な費用の軽減を図ることを可能とする.
9月頃までは, 解析に使用する汎用衝撃解析プログラムLS-DYNAの必須機能の動作確認, 使用上の不具合の改善等, 操作性の確認を行った. その後, 4node12時間利用の申請を経て, 4. 今年度当初の計画 1) のRC3 層架構1/4縮尺モデルの解析を行い, プログラムの性能, 解析条件の設定, ESの操作性, 性能評価の確認を行った. 続いて, 2) のRC6 層建物の解析を行った. しかし, 6 層建物は4node12時間の利用制限内では, 最初の計算で地震波約2 秒程度までの解析, その後は, 塑性および破壊の計算負担増大のためか1回での計算は地震波約1 秒程度となり, 他の利用者との兼ね合いで時間待ちを行いつつ4node12時間で継続した計算を試みるのでは目標とする解析デ-タの蓄積が困難な状況となった. その後, 16node使用の申請を行い16nodeで解析は行っているが, 現状でも一度の解析では地震波約4秒程度までである. 初期損傷等を考慮した解析検証の一例として, 地震波の振幅倍率 100%の入力4秒, 自由振動5 秒(2 回に分けて計算), 再度100%の地震波入力4 秒の計算は, 時間待ちをして継続した計算を4 回行い解析結果の検討を行った. 実験デ-タの検証としては, 地震波入力8 秒程度までの解析は行いたいが時間との兼ね合いで4 秒程度までの解析で一区切りとしている. 3) のRC6 層建物の地盤との連成モデルの解析は更にデ-タ量が多くなり, 一度の解析での地震波入力時間を短くして継続させた解析を試みている.
実験結果をおおむね再現できている.
実験結果のクラックの発生状況, 加速度応答の状況はおおむね再現できているが, 変位についての実験値との対応は初期損傷の度合いの考慮も含めて解析は継続中である.
現在解析結果の方向性は確認できているが継続して解析中である.
※年度当初の研究計画を全て達成した場合を100%として数値で示してください. 複数の目標があった場合は, それぞれについて達成度を数値で示してください.
※計画的に計算機資源を利用できているか, 状況を記載してください.
本プロジェクトは今年度(平成22年度)からの地球シミュレータの使用で, 本プロジェクトで使用する非線形解析コードLS-DYNAについて, 地球シミュレータを使用して計算実行する必須機能の動作確認(Verification)を実施した. このため年度前半の利用時間は少なくなったが, 計算資源を有効に使用するためには必要となる作業であった.
上記機能検証終了後, 即座に実モデルによる計算を開始した結果, 4ノード利用時で一人当たり約600時間/月のペースの利用実績となった. 申請時の利用ノード数の上限16ノードがそのまま利用できた場合には, 計算機利用状況はさらに高効率となったと思われる.
※ベクトル化, 並列化チューニング等, 計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください.
LS-DYNAではLSTC社によりロードモジュールが提供されているためベクトル化や並列チューニング等については直接操作をおこなうことができない. このためベクトル化や並列化効率が向上するように結果分析と評価方法について調査・検討した.
16ノード利用時(暫定)でベクトル化効率については97%が確認できた. 並列化効率はプログラム初期化時の影響が大きかったためこの影響を排除した結果28%となった.
本プロジェクトで使用する機能を確認(Verification)したところうまく動作しない条件データ設定があることがわかり, LS-DYNA開発元への改修依頼等で時間を多く要した.
また, 開発元にNECSXシリーズのソースコードが無いために「NEC殿にロードモジュールを送り→動作確認」というアプリケーションチューニングの工程自体にも時間を多く要した.
初年度申し込み時には利用ノード数・時間制限についての情報が少なく, 利用開始時に申請時の性能を全て使用できると考えていたことも計画的利用が進まなかった要因である.