平成23年度 地球シミュレータ利用報告会

全地球弾性応答シミュレーション

発表資料 (1.4MB)

1. プロジェクト名

全地球弾性応答シミュレーション

Global Elastic Response Simulation

2. プロジェクト責任者名

坪井 誠司 (海洋研究開発機構 地球情報研究センター)

Seiji Tsuboi

3. プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は、地球内部の地震波速度構造を精密に決定するための基礎となる、三次元地震波速度構造を考慮に入れた地球モデルに対する高解像度の地震波動シミュレーションを行うことである。同時に、現時点でもっとも精密な、表面波を用いた地球マントルの三次元地震波速度構造モデルのインバージョンを実施し、長周期の地震波データをもっともよく説明できるモデルを得ることを目指す。

4. 今年度当初の計画

2011年3月に発生したマグニチュード9の東北地方太平洋沖地震について、遠地地震波の解析から得られた震源破壊過程モデルを用いて現実的な地球モデルに対して理論地震波形を計算し、観測した地震波形との比較から震源過程モデルの妥当性を検証する。
 地球内部構造モデルの決定については、これまでに得られた地球内部構造モデルについて地震震源と観測点の組み合わせを増やすと共に、観測波形との一致を定量的に見積もりモデルの分解能について評価を行う。

5. 研究計画に沿った利用状況

東北地方太平洋沖地震の地震波形シミュレーションは、実体波の周期である数秒の精度で行うことが望ましいので、127ノードを用いた計算を実施することが必要である。しかしながら、夏季には節電対応によるノード制限が予想されたため、それ以前に計算を実施する必要があった。一方、遠地実体波を用いた震源破壊過程モデルの決定には2-3ヶ月必要であったために、理論地震波形計算の実施はノード制限が実施される前に一部を行い、制限が解除された後に再度実施した。利用制限中には地球内部構造決定のための比較的利用ノード数小規模ですむ計算を実行した。

6. 今年度得られた成果、 および達成度

成果

東北地方太平洋沖地震の震源破壊過程モデルは、三陸沖の日本海溝近傍の沈み込む太平洋プレートに沿って約50mのすべりが発生したという、これまでの大地震と比べても類例のない特徴を示している。この震源破壊過程モデルを用いて計算した遠地における理論地震波形は観測された地震波形と良く一致しており、震源破壊過程モデルが正しいことを示している。このモデルの特徴は他の研究で示されているものと一致しており、東北地方太平洋沖地震の震源破壊過程については局所的に極めて大きなすべりが発生したという共通の認識が得られつつある。地球内部構造モデル決定は成果を論文として発表した。

達成度

(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100%として数値で示してください。複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で示してください。)

理論地震波形計算 : 80%
 理由 : 他の震源破壊過程モデルで計算を行うことも計画したが、準備に時間がかかり実行できなかったため。

地震波速度構造決定 : 90%

7. 計算機資源の利用状況

計算機資源の利用状況

計算機資源は比較的利用が容易である前半に東北沖地震の震源モデルに関する大規模計算を集中して行い、ほぼ計画的に資源を利用できた。一方で、地球内部構造推定に関する計算は、モデルの修正による理論波形計算に予想以上に資源を使ってしまい、結果的に計算資源が不足する状況となってしまった。

チューニングによる成果

(ベクトル化、並列化チューニング等、計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください。)

理論地震波形計算プログラムのベクトル化はES2利用開始時に実施したものから大きくは変わっていない。プログラムのバージョンが更新されたことにより、新しいプログラムのベクトル化については、今後対応していく予定である。

8. 計画的に利用できていない場合、その理由

該当なし。

9. 新聞、雑誌での掲載記事

該当なし。