高解像度気候モデルと南極大型大気レーダー(PANSY)を用いた中層大気の観測・モデル統合研究
Model-observation Integration Study of the Middle-atmosphere Dynamics Using a High-resolution Climate Model and the Antarctic PANSY radar.
渡邉 真吾 (海洋研究開発機構 地球環境変動領域)
Shingo Watanabe
既存のT213L216高解像度気候モデル(水平解像度約60km、鉛直解像度500m、モデル上端150km)をベースに、とくに極域や高度50km以上で卓越する小規模な大気重力波を解像するために、水平解像度を3倍したT639L216のモデルを開発する。小規模な大気重力波の発生・伝播・散逸過程と、その散逸に伴う大規模な流れの場への影響を詳細に調べる。平成24-25年度も研究を継続し、南極大型大気レーダー(PANSY)等の新しい観測データとの比較を通じて気候モデルの重力波パラメタリゼーションの改良に寄与する情報を引き出す。
採択区分4の計算機資源(2,600ノード時間/年度)では、T639L216の解像度では開発・シミュレーションを通じて10日間程度しか積分ができないため、既存のT213L216版結果との比較(水平解像度に関する感度実験)が主体となる。
平成23年度前半は水平拡散スキームの調整(チューニング)方法の検討を行ったため、ESは利用しなかった。年度後半以後、計画に従って実験を実施した。1月上旬時点では、割り当て2,600ノード時間中の約1,300ノード時間を、T213L216版を用いたパイロット実験(観測データおよびT639L216版との比較に使用)のために利用し、約400ノード時間をT639L216版の調整に利用した。年度末にかけて、残り約900ノード時間を用いてT639L216版の積分を続ける計画である。
T213L216版の実験結果を、南極昭和基地のMFレーダーの観測結果と比較した結果、気候場の再現性が概ね良好であることが確認できた。これは、水平波長188 km以上の大気波動による運動量輸送および波と平均流の相互作用によってもたらされる大規模東西風循環の加減速効果が、総量として、また、緯度・高度・季節の関数として、現実的に表現されていることを示唆する。さらにT639L216版とT213L216版の結果の比較から、高分解能化することによって、とくに微細な地形の上空にて、より小規模の波の効果が卓越するようになるという期待通りの結果が得られた。平成24度以後に計画している、PANSYレーダーによる重力波の観測結果との統計的な比較解析に向けて、期待の持てる成果が得られた。
(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100%として数値で示してください。複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で示してください。)
100%
平成23年12月の1ヶ月間で、割り当て2,600ノード時間中1,300ノード時間超を利用しており、これは年度当初の研究計画の通りである。1月上旬時点では、約1,800ノード時間を利用している。今後、年度末に向けて約3ヶ月間で残り約800ノード時間を用いた積分を行う計画であり、利用ペースは極めて順調である。
(ベクトル化、並列化チューニング等、計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください。)
既に十分にチューニングされたコード(MIROC-AGCMの拡張版)を用いている。そのうえで、計算機資源の利用効率を最優先し、計算ノード当たりのメモリ量が許す範囲で少なめのノード数にて積分を行っている。
(鉛直層数が多く高層大気向けの物理過程にも多くのメモリを必要とするため、T639L216版の場合、最低20ノードを必要とする。並列化効率は40ノード使用時でも50%を上回る。)
該当なし。
該当なし。