フラグメント分子軌道法を用いた薬剤耐性メカニズムの解析
Theoretical Study of Drug Resistance Mechanism Based on the Fragment Molecular Orbital Method
田中 成典 (神戸大学 大学院システム情報学研究科)
Shigenori Tanaka
フラグメント分子軌道(FMO)法に基づくタンパク質の大規模電子状態計算および分子間相互作用解析を行い、インフルエンザウイルスの感染や変異予測ならびにアミノ酸変異による薬剤耐性メカニズムの解析等を行う。
計算創薬の重要なターゲットであるインフルエンザウイルスタンパク質等とリガンド分子に対するFMO計算を実行し、大規模第一原理計算のパフォーマンスを示すとともに、現実の薬剤設計や感染症対策にとって有用な情報を引き出す具体的処方箋を提供する。
今年度は特に、
1) 大規模計算のルーチン化
2) 電子相関計算の高精度化
3) 溶媒効果の取り入れ
4) ペア近似(FMO2)の改良
5) 高速化
6) 並列化等
の目標を掲げた。
ターゲットタンパク質としては、インフルエンザウイルスNA(ノイラミニダーゼ)の他に、HIVプロテアーゼ、エストロゲン受容体(ER)なども対象とした。64ノードまたは128ノードを用いた大規模計算を中心に利用を進めた。
当初の研究計画のうち、2) と4) の点で進展があった。特に、4) に関して、従来用いられていたペア近似(FMO2)を超えて3体、4体の効果も考慮に入れたFMO3、FMO4近似を導入することで、フラグメント分割の単位をより小さくし、リガンドとタンパク質間の相互作用をより詳細に解析できるようになった。これにより、薬剤候補物質の最適化や改良がより高精度に行えるようになると期待できる。
(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100% / 複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で記載)
全体として70%程度。
割り当てられた13,000ノード時間のうち昨年末までに約60%を使用し、順調に利用を進めている。
(ベクトル化、並列化チューニング等、計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください。)
上記のFMO3、FMO4近似のもとでのMPI並列化を行い、HIV-1プロテアーゼのケースで7TFLOPS程度のパフォーマンスを達成した。
今後はOpenMPと組み合わせたハイブリッド並列化が課題。
該当なし。