平成23年度 地球シミュレータ利用報告会

ヒートアイランドの数値モデルの開発

発表資料 (6.2MB)

1. プロジェクト名

ヒートアイランドの数値モデルの開発

Development of a Numerical Model of Urban Heat Island

2. プロジェクト責任者名

足永 靖信 (国土交通省 国土技術政策総合研究所)

Yasunobu Ashie

3. プロジェクトの目的

本研究はヒートアイランドの現象実態と対策効果を把握するため、ヒートアイランドの数値モデルの開発を行うことを目的とする。既往の大気モデルにおいては都市を平坦面と見なして運動量、熱、湿気の輸送方程式が構築されており、県境、国境を越えた大きなスケールを対象にした現象究明の検討が行われている。一方、実際の都市空間では建物の凹凸が歴然と存在し都市の表面はガラスやアスファルト等の多彩な建材で構成され、都市活動で消費されるエネルギーは熱に変わり都市を暖める。これらの都市的効果の集積はヒートアイランド現象を引き起こしており、集中豪雨の発生等の問題が指摘されている。ヒートアイランド現象は地球全体から見れば微細なスケールであるが、このスケールの環境をしっかり把握することは都市居住の設計を推進する上で極めて重要な視点である。

4. 今年度当初の計画

1) 都市空間の放射解析プログラムの最適化
 2) 建物群熱負荷予測プログラムの最適化
 3) 樹木周辺気候予測プログラムの最適化
 4) 東京地域を対象にした夏期の24時間解析の実施
 5) 香港地域の気象解析

5. 研究計画に沿った利用状況度

プログラムの最適化作業をほぼ終えている。東京地域を対象にした夏期の24時間解析は実施済であるが、境界条件に不具合があり再計算を行う。香港地域の気象解析は実施済である。

6. 今年度得られた成果、 および達成度

成果

5m解像度のCFD解析により時刻毎のヒートアイランド状況が明らかになった。朝方は街路沿いの高温化が顕著であり、道路交通に伴う人工排熱影響が考えられる。日中には陸地全体が高温化する傾向が見られ、大規模緑地の周辺ではクールスポットが形成される。
地球シミュレータ解析の研究実績により、建築学会賞、国土交通大臣表彰を受賞。

達成度

(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100%として数値で示してください。複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で示してください。)

1) 都市空間の放射解析プログラムの最適化 60%
 2) 建物群熱負荷予測プログラムの最適化 80%
 3) 樹木周辺気候予測プログラムの最適化 80%
 4) 東京地域を対象にした夏期の24時間解析の実施 70%
 5) 香港地域の気象解析 100%

7. 計算機資源の利用状況

計算機資源の利用状況

計算ノード時間は約4,000(2011年12月時点)。利用状況は、年度割当量(13,000)の3分の1程度である。年度途中より3名を新規登録して作業効率向上を図っている。

チューニングによる成果

(ベクトル化、並列化チューニング等、計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載してください。)

流体解析においては既に領域分割法が導入されており、放射伝熱部分で新たに領域分割法を適用することになる。放射計算の場合、隣接領域間で必要になるデータ通信は最低でも数百メートル(数百メッシュ)に及ぶが、地球シミュレータでは1PE当たりのメモリ量が大きくノード間転送速度が十分速いためそれほど問題にならないことを確認した。この他、ベクトル長の確保、DOループ構造の分析、直接・連続アドレス参照など一般的な最適化作業を行っている。

計画的に利用できていない場合、その理由

計算要員の確保のために業務契約が必要であり、契約時期が利用状況に影響する。

8. 新聞、雑誌での掲載記事

ヒートアイランドの対策と技術 森山正和編(韓国語翻訳版)(多数共著)、学芸出版社、pp. 40-48、2011.12
 Yasunobu ASHIE: Urban-scale CFD modeling in Tokyo, Urban climate news , Issue NO.41, International Association for Urban Climate, pp. 5-10, 2011.9