数値天気予報における予測可能性変動メカニズムの解明
Predictability Variation in Numerical Weather Prediction
榎本 剛 (京都大学防災研究所)
Takeshi Enomoto
数値天気予報の精度は、日々変動し、複数の機関で異なっている。そのメカニズムは、無限小擾乱の線型発達理論や単一の大気大循環モデルを用いた実験では明らかにできない。そこで本研究では、 複数の機関のモデルを用い、 初期値を交換した予報実験を実施することにより、 予測可能性が変動するメカニズムを解明する。
JMA GSM及びAFESを同一の境界条件(海面水温・海氷分布)で強制した実験を行い、 独立した再解析データと比較することにより、 それぞれのモデルの特性を明らかにする。まず、実験環境の整備を行い、パラメタ調整を行う。整備された実験環境を用いて、予報実験を行う。
複数の大気大循環モデルを用いた、初期値交換実験の例として台風の進路予測に着目した。Yamaguchi et al. (2012) が初期値及びモデルの影響を指摘した2009年の2つの事例に関し、AFESを用いて進路予測実験を行った。初期値として、AFES-LETKFアンサンブル再解析2(ALERA2)及びヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の現業解析を用いた。
AFES-LETKFアンサンブル同化システムALEDAS2を改変し、アンサンブル予測システムALEPS2を構築した。ALEPS2の解像度は、T119L48(水平解像度約1度、鉛直48層)である。より高解像度での実験を可能とするため、AFESの解像度をT239L48に高めたアンサンブル実験環境も整備した。
2009年台風第20号(Lupit)の例では、ALERA2のアンサンブル平均からの予報実験では、台風は西進し、気象庁の現業解析をJMA GSMに与えた場合に類似した結果となった。ECMWFの現業解析からの予報実験では、AFESでもJMA GSMと同様に進路は改善した。京都大学の計算機で行ったNCEP GFSを用いた実験でも同様の傾向が認められたことから、この事例では、初期値に敏感であることを裏付けられた。
(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100% / 複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で記載)
80%
過去海面水温実験は他のプロジェクトで既に実施しているため、本プロジェクトでは実施しないこととした。そのため本年度は予定よりも少ない資源量で済ませた。今後実施する多数の予報実験では、見積通りの資源量が必要である。
(ベクトル化、 並列化チューニング等、 計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載)
本プロジェクトでは、他のプロジェクトでチューニングされ、ESで実績のあるJMA GSM及びAFESを利用している。そのため、本プロジェクト独自のチューニングは今のところ必要としていない。
パラメタ調整のために予定していた過去海面水温実験を他のプロジェクトで実施したため、本プロジェクトでは予定よりも資源を必要しなかった。
2012年 8月19日 : 東京新聞 (山口)
2012年 8月24日 : 読売新聞夕刊 (榎本)
2012年 8月26日 : 京都新聞朝刊 (榎本)
2012年 8月31日 : フジテレビ「とくダネ」(山口)
2012年10月13, 20日 : 文化放送「サイエンスキッズ」(山口)
2012年10月31日 : 日経サイエンス (山口)
2012年11月31日 : 日本気象学会「天気」 (山口)