平成24年度 地球シミュレータ利用報告会

核融合炉先進ブランケットにおけるMHD熱伝達データベースの構築

発表資料 (3.0MB)

1. プロジェクト名

核融合炉先進ブランケットにおけるMHD熱伝達データベースの構築

Development of MHD Heat Transfer Database at Design Conditions of Advanced Blanket System in Fusion Reactor

2. プロジェクト責任者名

山本 義暢 (山梨大学 大学院医学工学総合研究部)

Yoshinobu Yamamoto

3. プロジェクトの目的

先進核融合炉ブランケット設計条件は、高ハルトマン数(磁場効果)・高レイノルズ数(乱流効果)・高プラントル数(熱拡散効果)状態の複合・複雑現象として出現し、理論・実験的取り扱いが極めて困難な、極限的MHD(Magnet-hydro-dynamics)熱輸送現象である。
本研究では、地球シミュレータを駆使し、実行効率16TFLOPS以上の高速かつ高精度MHD熱輸送現象のシミュレーション手法を開発する。そして開発コードを用い、MHD熱伝達の物理機構の解明と物理モデリングに取り組むものである。

4. 今年度当初の計画

本研究では、高ハルトマン数、高レイノルズ数、高プラントル数状態におけるMHD乱流熱伝達現象であり、その現象解明においては、大規模メモリかつ長時間の時間積分を行うことが必須である。従って、地球シミュレータの最大構成上(128ノード)での高速・大容量計算コードの開発をまず実施する。具体的には、多段Fat-tree上でのノード間通信性能の検証及び最適化を行い、地球シミュレータ128ノード/1024CPU上で、実行演算速度16TFLOPS以上を目指す。

5. 研究計画に沿った利用状況

4月 :
 4月初旬ESへのプログラム移植を行い、2週間程度で128ノードまでの利用許可を得ることができた。またES特有のステージングの問題については、ユーザーサポートの支援を受け、対処可能となった。上記のように、東北大学SX-9上で開発を行ったコードを移植するだけで、ESでの最大構成(128ノード)において、ベクトル化率95%以上、並列化効率50%以上を達成することができた。
しかしその一方で、実行効率は14.6TFLOPS程度であり、目標の16TFLOPSには届かなかった。
 5月-6月 :
 そこで2ヶ月程度をかけて、ES上でのチューニングを行い、実行演算速度21TFLOPSが得られ、6月末の段階でES上でのプログラム開発を完了できた。
 7月-8月 :
 開発コードを用いて実際のデータベース構築のためのCPU時間の延長許可が得られたことにより、7月-8月にかけて、128ノードを利用した大規模直接数値計算を実行した。ただし時間計測のトラブルにより、3割程度CPU時間を浪費し、データベースの時間積分長がやや不足している状況である。
 9月-12月 :
 現在は得られたデータベースの解析をS系において順次行っており、乱流モデル開発に関する知見をまとめている状況である。

6. 今年度得られた成果、 および達成度

成果

1) 地球シミュレータ128ノード(1024CPU)上で、実行効率20%、実行演算速度21TFLOPSの高速・大規模MHD熱伝達直接計算コード開発に成功した。
 2) 開発コードを用いて、核融合炉デザイン条件下でのDNSデータベース構築を実行した。(CPU時間追加による、追加課題:80%)
 3) DNSデータベースを用いて、乱流構造解析及びMHD乱流モデリングに関する知見を得た。その結果、熱伝達相関式の提案を行うとともに、乱流モデリングに関する指針を得た。(当初目標外、2年目実施予定内容)

達成度

(年度当初の研究計画を全て達成した場合を100% / 複数の目標があった場合は、それぞれについて達成度を数値で記載)

100%

7. 計算機資源の利用状況

計算機資源の利用状況

上記のように、ES利用に関しては前半段階で今年度の利用分(及び追加分)を消費し、データベース構築及びその解析に着手している状況である。また問題となった、時間計測にかんするトラブルについても、原因は不明のままであるが、回避方法は判明したため、次年度においては、まったく支障はないと考えている。

チューニングによる成果

(ベクトル化、 並列化チューニング等、 計算機資源を有効利用するために行ったこととその効果を記載)

上記のように、東北大学SX-9で開発したコードを移植した際、多段Fat-treeによるalltoall通信については、ノード間通信のスケジューリング(128段階分割)により、ESにおいても効率的に行えることを確認した。一方、隣接間通信(シフト通信)において、コンフリクトする部分がプログラム情報により判明し、この部分を回避するようにプログラムを修正した。その結果、実行演算速度21TFLOPSが達成できた。

計画的に利用できていない場合、その理由

該当なし。

8. 新聞、雑誌での掲載記事

該当なし。