私たちのグループで開発した非静力学・大気海洋結合モデルによる、世界に先駆けて超高解像度の台風の予測シミュレーションを行いました。下図に、2003年の台風10号の予測シミュレーション例を示します。 大気と海洋の相互作用によって、台風の進路の右側の海洋の温度が低くなり、台風の足跡が見てとれます。これは、衛星からの観測データにおいても捉えられている現象です。
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都市域における熱循環特性を考慮したUCSS都市キャノピーモデルを統合し、 全球から都市域まで扱うことが可能なシミュレーションコードの開発を行っています。 下図に示すように、観測で得られている夏の夜の都市の蓄熱効果をよく再現しています。
| (a) 都市の効果なし | (b) 都市の効果あり | |
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| 図2.夏の夜の都市の蓄熱効果の再現実験結果 | ||
重合格子上における波の伝播特性を解析することにより、高精度の計算を実現するためには波の分散関係が重要であり、 CIP法(Cubic-Interpolated Pseudo-Particle Scheme)が有効な計算手法であることを示しました。
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| 図3.2 次,4 次,6 次,8 次精度の中心差分スキームとCIP 法の位相速度 |
特性線法によるCIP法を用いることにより、球面上の浅水波方程式を解く際に高精度な計算が可能であるという、新たな知見を得ることができました。 上記の成果より、CIP法をさらに3次元に拡張することにより、地球シミュレータの理論ピーク計算性能に近い現状のシミュレーションコードをさらに、 より高精度かつ高速計算を可能とする指針が拓けたことになります。同時に、現在用いている中央差分法を高次化し(8次精度)、重合格子境界上にノイズを軽減するフィルタを導入することにより、 現時点においては、1-2年積分を精度よく計算できることも確認済みです。
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| 図4.Williamsonテスト6 |
災害予測シミュレーションの予測精度を向上させるためには、降雨過程をより厳密に、 より正確に扱うことができる気象モデルを開発することが必要です。現在の気象モデルでは、 降雨過程を計算するためにバルク法と呼ばれる方法が主に用いられています。バルク法では、 例えば、液体としての水は雲水量と雨水量の二つだけで表現されます。これでは、 雲粒の成長を正確に予測することは困難です。その欠点を克服できる手法として、ビン法と呼ばれる方法があります。 ビン法では、雲粒をサイズ別にいくつものクラスに分類することによって、雲粒の大きさを考慮します。 現在、このビン法を組み込んだ気象モデルを使って、災害予測シミュレーションを行っています。 特に、大気乱流によって雲粒同士の衝突頻度が増大し、雲粒の成長速度が速くなる現象に着目しています。 例えば、山岳による地形性降雨シミュレーションでは、大気乱流の効果によって、 雨が降り出すタイミング、雨の量などが大きく影響されることを明らかにしました。
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| 図5.雲粒の成長を正確に予測するシミュレーション |
平成16年度に引き続き、新たなコンポーネントの計算性能最適化や通信処理の軽減などを通して、 シミュレーションコードの計算性能をさらに向上しました。大気、海洋各コンポーネント、および大気海洋結合モデルにおいて、 表1にあるように、いずれも50-60%のピーク性能比、約90%の並列効率、99.99%以上の並列化率を達成しました。
| 計算性能 | 格子数 | ノード数 | ピーク 性能比 (%) |
並列化率 (%) |
並列効率(%) | スピード アップ率 (倍) |
| ES要求性能: 50%以上 |
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| 大気大循環モデル | 28億8276万4800 | 512 | 57.2 | 99.9983 | 93.6 | 479.1 |
| 384 | 57.6 | 99.9969 | 95.1 | 365.2 | ||
| 256 | 58.7 | ― | 96.7 | 247.5 | ||
| 海洋大循環モデル | 49億5452万1600 | 498 | 45.4 | 99.9940 | 80.6 | 401.3 |
| 398 | 44.6 | 99.9890 | 83.8 | 333.7 | ||
| 207 | 49.8 | ― | 90.9 | 188.2 | ||
| 大気・海洋 結合モデル |
38億6629万6320 | 512 | 52.1 | 99.9973 | 90.0 | 461.0 |
| 384 | 53.4 | 99.9968 | 92.3 | 354.6 | ||
| 256 | 55.0 | ― | 94.8 | 252.6 |
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| 図6.地球シミュレータの平均性能値と各モデルの性能 |
台風の予測シミュレーションを継続するとともに、その適用範囲の拡張とモデルの物理的性能評価のために、 新たな事例の予測シミュレーションに取り組みました。さらに、地球深部探査船「ちきゅう」の安全航行支援のために高解像度シミュレーション結果データを提供しました。