第25回 ESCセミナー

三次元放射伝達モデルの開発と曇天大気の光環境シミュレーション

日時
2007年3月1日 (木) 13:30-15:00
場所
横浜研究所 シミュレータ研究棟1階 大会議室
講演者
岩渕 弘信 (地球環境フロンティア研究センター)
使用言語
日本語

要旨

従来の気候・気象モデルにおける放射過程の扱いは, 特に雲に関しては簡略化されたものとなっている。大規模なモデルでは格子内の雲の分布が不確定であることから格子内で水平一様と仮定したり,確率論的な放射フラックス計算スキームに頼らざるを得ない。雲解像スケールのモデルになると, 格子内の分布は重要ではなくなると一般には考えられているが, いずれにしても従来のモデルでは一次元の放射伝達モデルが使われており, 上下方向の光伝達しか考慮されていない。従って, 雲の影の効果や, 積雲側面からの光の照射, 積雲間の多重散乱の効果などは無視されている。三次元の放射伝達を考慮した場合にどのような効果があるか, また放射量の分布がどのように変わるかということは,これまで事例解析としてはいくつか報告があるがまだ良くわかっていない部分も多い。

このような状況のもと, 簡略化した計算スキームの検証と改良を目的として,雲粒・エーロゾル・気体分子による光の散乱・吸収,海面・陸面での反射を精密に扱い, 惑星大気-地表面系における三次元放射を陽に扱うことができる放射モデルを開発した。これを用いて光エネルギーの空間的・角度的分布を高精度に求めることができる。これまでにいくつかのモデル比較実験に参加し, 精度を検証した。このセミナーでは主にこれまでに開発したプロトタイプモデルについてアルゴリズムの紹介し, 現在開発中の時間変化する雲場に対応した4次元シミュレーションのためモデルについて簡単に紹介する。

これまでに開発したモデルの特長の一つは放射輝度(特定の方向の光の強度)を高精度に計算できることである。これにより, 衛星観測データを利用した雲やエーロゾル, 微量気体, 陸面などのリモートセンシングへの応用が期待される。別な応用例として, 力学モデルで再現された三次元の雲分布の可視化およびフォトリアリスティックなCGの作成について紹介する。

問い合わせ先

地球シミュレータセンター
高度計算表現法研究グループ
荒木 文明
Phone : 045-778-5894
Fax : 045-778-5493
e-mail : araki