地球ダイナモシミュレーションの目的は、地球外核の対流運動を数値的に解くことで地球磁場の生成過程を再現し、その物理機構 を理解することである。しかしながら現実の外核のもつ様々な物理定数をそのまま使って行ういわゆる直接数値計算は現在のスーパーコンピュータを使っても不可能である。その最大の理由は外核の粘性率の低さにある。外核の粘性率がいかに低いかは、ダイナモシミュレーションで鍵となる無次元量の一つであるエクマン数が10のマイナス15乗という小さい値をとることからも分かる。
(エクマン数とは、地球の自転速度と粘性拡散速度との比である。)
本格的な地球ダイナモシミュレーション研究が始まって10年以上経過したが、この間、エクマン数は10のマイナス4乗のオーダーから10のマイナス6乗のオーダーまで着実に進歩してきた。
我々は最近、地球シミュレータの4096プロセッサを使った高解像度シミュレーションにより、世界記録となる10のマイナス7乗のエクマン数での 地球ダイナモシミュレーションに成功した。その結果、このような低粘性領域での対流構造と磁場構造はこれまでの計算で見られたものと質的に異なることが分かった。流れ構造は、これまで見られたような円柱状の対流胞構造ではなく、薄いシート状のプルーム構造をもつ。
また、磁場は螺旋型の電流構造に囲まれた直線的な構造をもつことが分かった。新たに見つかった速度場や磁場などの3次元ベクトル場の解析にはバーチャルリアリティ技術を用いた3次元的可視化手法が大いに活躍した。