MSSG-CRESTセミナー

多様な力学条件を有する界面における乱流物質輸送の多重スケール解析

日時
2009年1月23日(金) 16:00-17:00
場所
横浜研究所 シミュレータ研究棟1F会議室
講演者
長谷川 洋介 (東京大学 機械工学専攻 助教)
使用言語
日本語

要旨

自由界面や固体界面を介した熱・物質伝達現象は,我々の身の回りの環境や機械システムの内部において、頻繁に見られる現象である。例えば,地球温暖化問題において、人類が排出する主要な温室効果ガスは二酸化炭素であり,その半分は海洋、及び陸地に吸収され、残りの半分が大気に残留する。従って、将来の地球環境を予測するためには、大気-海洋間ガス交換量の正確な見積もりが不可欠となる。また、化石燃料の枯渇に伴い、反応撹拌器、ガス吸収器、蒸発器などの様々な熱流体機器の高効率化に対する要求が高まっており、界面熱・物質輸送現象の更なる理解とその制御技術に期待が集まっている.

一般に、液中における溶質ガスの拡散係数Dは10-9[m2/s]のオーダーであり、溶媒の動粘性係数との比であるシュミット数Scは、Sc~O(103)のオーダーとなる。すなわち、界面近傍に極めて薄い濃度境界層 (10 ~ 100μm)が形成され、その内部のミクロな乱流輸送が全体の物質交換を支配する.しかし,界面近傍における速度場・濃度場の同時計測は今なお困難であり、輸送機構の詳細に関しては十分な理解が得られていない。一方、数値シミュレーションでは,計算領域全域における速度場-濃度場の瞬時データが得られるため,より詳細な解析が期待できる。しかし、現実の熱流動場は、一般に高レイノルズ数、高シュミット数を有しており、それらを計算機上で再現するためには、膨大な計算機資源を要する。従って、着目するスケールに計算機資源を集中させる一方で、モデルの妥当性が検証されている現象に対しては、積極的にモ デルを取り入れることにより、計算の効率化、精緻化を行うことが望まれる。

上記の背景を鑑み、我々のグループでは、高シュミット数界面乱流物質輸送の新しい計算手法として、界面遠方では粗い格子を用いてLarge Eddy Simulation (LES) を適用する一方、界面近傍では、細かい格子による直接数値計算 (Direct Numerical Simulation: DNS)を適用するHybrid DNS/LES法を開発した。これにより、界面遠方のマクロな乱流構造と界面近傍のミクロな輸送機構との相互作用を考慮しつつ、計算負荷を大幅に軽減することが可能となる。

本講演では、ハイブリッドDNS/LES法の概説を行った後、本手法を自由界面、界面活性物質の吸着した界面 (汚れ界面)、固体壁面へ適用した例を示す。また、上記の計算で得られた物理的知見を基に、界面の力学条件を考慮した界面物質輸送モデルを提案する。

問い合わせ先

地球シミュレータセンター 複雑性シミュレーション研究グループ
高橋 桂子
TEL : 045-778-5834
FAX : 045-778-5493
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