地球フロンティア研究システムJCOPEグループ(JCOPEについては下記参照)が開発し運用を続け ているJCOPE海洋変動予測システムは、6月以降に紀伊半島の南東沖において黒潮蛇行が発生することを予測しています。これは、昨年(2003年)の 12月に九州南東沖に発生した後,消長を繰り返しつつ停滞していた小蛇行が東へ移動を始め、小蛇行が紀伊半島沖に到達する時点で蛇行の振幅が増大すること が予測されるためです(図1,水深200mの水温と流れの分布)。
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| 初期値: 5/7-5/8 | 予測値: 6/8-6/9 | 予測値: 7/8-7/9 |
JCOPE海洋変動予測システムは,2001年12月に予測実験を開始して以来,1週間毎に予測を更新し続けてきました。昨年も,同様な小蛇行の移 動による紀伊半島沖での蛇行発生(2003年5月)の予測に成功しました。その後改良を重ねた最新のシステムによる昨年の蛇行の予測実験(ハインドカース ト実験)結果では,観測と同様に蛇行の発達はみられず(図2),大きな蛇行の発達をみせる今回の予測との違いが注目されます。
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| 初期値: 3/28-3/29 | 予測値: 4/27-4/28 | 予測値: 5/29-5/30 |
二つの予測実験における蛇行の発達の違いはどのようにして生じたのでしょうか。予測実験の初期値の推定に使われた観測値を比較してみます(図3)。 紀伊半島沖の蛇行の直接の引き金となる四国沖の小蛇行(青い部分)と,蛇行の発達に大きな役割を果たす沖側にある暖水渦(黄色い部分)の双方が,今年の場 合には,相当に強くなっていることがわかります。初期値の違いによるこのような予測結果の違いは,私たちが行った1999年の蛇行のアンサンブル予測実験 の結果とも整合しています(Miyazawa et al., 2004b)。6月以降の小蛇行の発達が非常に注目されるところであり,JCOPEグループでは今後もさらに解析と予測を継続していきます。流れが速く非 線形性の強い黒潮流路変動の予測は,天気予報と同じように,観測データによって逐次モデルの状態を修正しながら少しずつ更新していく必要があります。 JCOPE海洋変動予測システムの最新の予測結果についてはJCOPE ウェブサイトを御覧ください。
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| 昨年の場合 (九州南東沖に弱い渦) | 今年の場合 (九州南東沖に強い渦) |
地球フロンティア研究システム気候変動予測研究領域(山形俊男領域長)では,日本沿海予測可能性実験計画(Japan Coastal Ocean Predictability Experiment: JCOPE)のもとで,1997年以来,高解像度海洋大循環モデルを用いて黒潮変動の力学を研究してきました(郭と山形, 2002; Guo et al., 2003; Miyazawa et al., 2004a)。こうした研究の成果に基づき,JCOPEグループは「予測海洋科学」(山形,2003)の実現を目指して,海洋大循環モデルを用いた数値予 報による海洋変動予測実験を2001年12月20日に開始しました(プレス発表)。 この予測システムは、人工衛星や船舶・ARGOフロート等による観測データと,世界最高レベルの解像度をもつ海洋大循環モデルを組み合わせて、日本周辺に おける2ヶ月程度の海洋変動予測を逐次更新していくものです(宮澤と山形, 2003; Miyazawa et al., 2004b)。
郭 新宇、山形 俊男, 2002:縁辺海の海況予報モデルの開発に向けて, 月刊海洋, 34, 1, 45-48.
山形 俊男, 2003:(特集:海洋研究-人類の未来のために)予測海洋科学の誕生に向けて, 学術月報, 56, 5, 452-456.
宮澤 泰正、山形 俊男, 2003:JCOPE海洋変動予測システム, 月刊海洋 35, 12, 881-886.
Guo, X., H. Hukuda, Y. Miyazawa and T. Yamagata, 2003: A triply nested ocean models -Roles of horizontal resolution on JEBAR-, J. Phys. Oceanogr. 33, 146-169.
Miyazawa, Y., X. Guo and T. Yamagata, 2004a: Roles of meso-scale eddies in the Kuroshio paths, accepted by J. Phys. Oceanogr.
Miyazawa, Y., S. Yamane, X. Guo and T. Yamagata, 2004b: Ensemble forecast of the Kuroshio meandering, submitted to J. Geophys. Res.