黒潮大蛇行発生の兆し?

2003.05.06
地球フロンティア研究システムJCOPEグループ

今年の2月末以降、JCOPE/FRSGC海洋変動予測システムは、4月末に紀伊半島の南東沖において黒潮蛇行が発生することを予測し続けてきました。これは、昨年の12月に九州南東沖に発生した小蛇行(small meander)が東に移動しており、小蛇行が紀伊半島沖に到達する時点で蛇行の振幅が増大することが予測されるためです(図1)。


図1: JCOPE/FRSGC海洋変動予測システムによる黒潮流路の予測結果
(2/26初期化)

同予測システムはその後ほぼ1週間毎に予測を更新し続けてきましたが、最近の予測結果においても以前の予測に比べてやや発生時期が後にずれているものの、やはり4月末-5月初めにかけて黒潮が蛇行することを予測しています(図2)。 

    初期値: 04/19-04/20
    予測値: 04/25-04/26
    予測値: 05/09-05/10
図2: JCOPE/FRSGC海洋変動予測システムによる最近の 海面水温の予測結果 (2日間の平均)

最近の同システムの予測結果は人工衛星による観測とほぼ一致しており(図2中と図3) 、今後の蛇行の発展が注目されます。同システムは、紀伊半島の南で離岸するような蛇行は振幅が大きくなることを予測しています(図3右)。統計的にはエルニーニョの終息後黒潮大蛇行が発生することが多く見られますが、今回の現象も同様に1年以上続く安定した「黒潮大蛇行」に移行するのかどうかは気候変動予測の上でも極めて興味深く、JCOPE グループではさらに解析と予測を継続していきます。



図3: 4/26に人工衛星で観測された海面水温
(海上保安庁海洋情報部のウェブサイトより加工転載)

JCOPE/FRSGC海洋変動予測システムによる海洋変動予測実験は、2001年12月20日に 開始されました(プレス発表)。 同システムは、人工衛星や船舶、ARGOフロート等による観測データと高解像度海洋大循環モデルを組み合わせて、日本周辺における2ヶ月程度の海洋変動予測を行うものです。同システムの詳細と最新の予測結果についてはJCOPE/FRSGCウェブサイトを御覧ください。