 千葉 早苗
生態系変動予測研究領域
Dr. Sanae Chiba
Ecosystem Change Research Program |
2000年4月に生態系変動領域の海洋生物過程モデルグループに着任しました。この春大学を卒業したてのほやほやの新人です。大学では南極海のプランクトン群集構造の変動要因について、主としてフィールドワークに基づき汐まみれになって研究してきました。フロンティアでは、日本周辺を含む北太平洋に舞台を移し、過去に蓄積されたデータを収集、整備、解析することにより、プランクトンを中心とした海洋生態系が十年?数十年間の環境変動に応じてどのように変化するのかを明らかにしていきます。研究海域や手法が変わっても大きなゴールは同じ「生態系と地球環境の相互作用のプロセスを探ること」です。
生態系は環境変動に対して敏感に反応しますが、その反応は常に受け身ではなく、生物活動によって環境もまた変化します。非常に大きい時間スケールの例をあげれば、数十億年前に登場し、光合成により地球の大気を酸素で満たし、現存する生命を有害な紫外線から守るオゾン層の形成に貢献したのは「ラン藻」という小さな海の生き物です。こうした生物活動による環境へのフィードバック効果を考慮することなしには、より現実的な地球変動モデルを構築することはむずかしいでしょう。
実は私は研究の道に進む以前は海洋研究所で事務スタッフとして勤務していたという変わった経歴の持ち主です。他の研究者の方々に比べ長年の回り道をしてきたことになりますが、その間に多くの貴重な「拾いもの」をしました。
その経験が今科学をするうえでも私の力となっています。学会や論文で難解な専門用語で議論することだけが仕事ならば、私は科学者であることにさほど魅力を感じません。しかし、研究を通じて一般の方々に向かいあい地球の自然や生命の妙を伝えることができれば、それが変わり種である私の使命だと思っています。S.J.Gouldのように素晴らしくはできないだろうけれど。
最後に経験から一言「芸は身を助く」よ。
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