FORSGC FRONTIERNewsletter No.12 Oct.2000

地球観測フロンティア研究システム
本コーナーでは地球フロンティアとともに地球変動の研究に取り組んでいます地球観測フロンティア研究システムの活動を紹介致します。今回は地球観測フロンティア研究システムの堀田 宏 新システム長(H12年7月就任)に観測フロンティアの概要と今後の展望についてお話を伺いました。

堀田氏顔写真 地球観測フロンティア研究システム
 システム長就任にあたって



堀田 宏(地球観測フロンティア システム長)

 去る7月1日付けをもちまして地球観測フロンティア研究システムのシステム長に任ぜられ、その重責をヒシヒシと感じている毎日です。
 今、私たちの最も強い関心事の一つは、この地球の環境は今後一体どうなっていくのであろうかと言うことだと思います。この問題に一日も早く答えの方向性を示すために、集中してモデル研究に取り組んで行こうという優秀な研究者の方々に参加して頂く地球フロンティア研究システムがほぼ3年前に発足しました。また、それを追って地球の自然界の状態をより正確に歪みなく観測し、地球の真の姿を明らかにすることを目指した地球観測フロンティア研究システムが昨年の夏に発足しました。

 地球観測フロンティア研究システムの一つの重要な役割は、地球フロンティア研究システムとの緊密な連係のもとにモデル研究に必要なデータをシステマティックに採ることでもあるので、発足と同時に「気候変動観測研究領域」と「水循環観測研究領域」がスタートしました。また、アラスカ大学に設置されたIARCにおいては、「海洋、海氷、大気結合研究グループ」とさらに生態系を含めたこれらの要素の間の相互作用と気候変動との関係を学際的に研究する「複合分野研究グループ」とが観測研究を開始したわけです。

 これらと合わせて、現在懸念されている地球は本当に温暖化に向かっているのかどうかという疑問に答えるためには、炭素を中心とした物質循環についての研究を今まで以上にシステマティックに進めることが必要なので新たに「地球温暖化観測研究領域」を始めるべく準備を進めているところです。その海洋における研究の対象海域は、従来から炭素の大きな吸収域の一つであろうとして注目されていた北大西洋ですが、秋から春にかけては荒れる日が多いので今までの観測船では殆ど観測を行うことが出来ませんでした。しかし、海洋科学技術センターの世界でも最大級の海洋地球研究船「みらい」をもってすればそのような観測も初めて可能となるであろうと考えられていますし、それによって従来知られていなかった新しい事実も明らかにされるであろうとも期待されています。これが観測フロンティア研究のもう一つの大きな役割であるとも考えています。研究の場としては、かねてから海洋科学技術センターが研究施設とするべく整備を進めてきたむつ市の「むつ事務所」をいよいよ「むつ研究所」と衣替えをして本格的に研究を開始することを計画しています。


グリーンランドのヤコブスハブン付近。
大陸を覆っていた氷床が海に落ち、海面を漂っている。
出典:知られざる世界 (NHK出版)
 これらの観測研究を進めて行くためには、熱意に溢れた研究者を全世界から募っていくことは言うまでもありませんが、さらにはこの観測を万全に実施していく優秀な観測員が必要なことも言うまでもありません。この優秀な研究員と観測員のチームワークを実現することこそが観測研究の成果の成否を握る鍵であるとも言えましょう。 また、観測研究では自分自身を自然の中に置くことが大切ですので未知の危険にもさらされることもあるので、予め充分な計画を立てておく必要があることと、注意深い行動が求められるわけです。これは、モデル研究とは大きく違う点で専業が望まれる理由です。




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