| RESEARCHERS | Frontier Newsletter No.14 Jan.2001 |
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インド洋ダイポール(IOD)の発見に伴って、インド洋はこの方面の国際的なコミュニティにおいて注目を集めることになりました。この発見前は、世界の研究者達はインド洋が単に太平洋のENSO現象の延長上にあると信じていました。しかしながらIODの発見は、インド洋がそれ自身の独自性を持っていることを意味します。 私は1999年11月以来FRSGC/IGCRで仕事をしています。今まではIODに関する研究は殆どSSTの変動に限られていました。私は気候変動予測研究領域のメンバーの一人として、海洋大循環モデル、現場観測及び衛星高度観測などの様々な手段を用いてインド洋ダイポールに対する海洋表層の応答を研究しています。私の研究によれば、インド洋海洋表層の主な経年変動は、ENSOが卓越した時の経年変動よりも、むしろIODに伴って起こっています。 ENSO現象がインド洋に及ぼす影響は大気を通して行われ、表面の熱フラックスによるということはよく知られています。このことがインド洋におけるSSTに影響を与え、表面における経年変動の主要なモードになります。しかしながら海洋表層については、IOD発生時の赤道インド洋における西風から東風への絶対的風向きの変化は、ENSO時の西風が弱まる現象とは違って、赤道インド洋の熱容量偏差の極性変化を生じさせることに我々は気付きました。また海洋表層の現象が、SSTの極性反転によってIODの後の年に表面の現象に重大な効果を及ぼすことも見出しました。 我々の究極の目標は、インド洋におけるこれら経年的シグナルがどのように励起されるのかを見出すために海洋表層の熱の蓄積シグナルを探すことです。この方面の研究は現在続行中です。私は又、インド洋におけるSSTの進化に塩分濃度がどんな役割を果たしているかの研究にも関係しています。 FRSGCに参加する前、私はトリニダード・トバゴ(西インド諸島)にある海洋研究所(IMA)の海洋物理部門で働きました。IMAでの私の仕事は簡単な数値モデルを使ってパリア湾内の流れを記述することと、トリニダート・トバゴ近辺の石油・レクリエーション産業へのコンサルタント業でした。その前には、私は博士号を取得するためインドの国立海洋研究所にいました。この間、私はベンガル湾内のロスピー波を数値シミュレーションと観測により特定する仕事をしました。この仕事で私はアンドラ大学から「最良論文ゴールドメダル」を授与されした。 |
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東アジアでは燃焼活動に伴って人為起源物質が大気へと大量に放出されており、その量は現在もなお急速に増加し続けています。オゾンは前駆物質から二次的に生成される大気汚染物質であり、非都市域におけるその生成速度は、燃焼の一次的生成物である窒素酸化物濃度によって主にコントロールされています。 対流圏オゾンの環境への影響は多岐にわたります。まず、OHラジカルの主要な生成源であり、大気の酸化能をコントロールしています。また、オゾン濃度が通常のレベルを超えると、自然の植生に害を与え、農産物の収穫量を減少させ、そして人間の健康にも有害な影響を及ぼします。 最近の研究によると、東アジアの下部対流圏におけるオゾン濃度はここ数十年間に増加しており、その増加率は北半球中緯度に位置する他のどの地域よりも高いとのことです。アジアの大気汚染物質が太平洋上空に運ばれている事実が観測により明らかにされていますが、東アジアにおけるオゾンの光化学的生成は東アジア域だけでなく風下側の地域でもオゾン濃度を押し上げているようです。 私は2000年1月より大気組成変動予測研究領域に加わりました。我々の研究計画の一環として、私は、東アジアから西太平洋にまたがる地域での対流圏オゾンとその前駆物質の輸送過程および光化学的変換過程を研究するため、第3世代対流圏化学物質輸送モデル(MODELS-3/CMAQ)を使っています。私はまた、CMAQで使用される大気境界層や他の気象場の情報を物理的基礎に基づいて記述するため、地域気象モデル(RAMS)も使っています。 |
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1999 年 5 月に地球フロンティアに着任しました。着任する前は、大学院で天体物理学を専攻していました。大学院時代から様々な流体現象を学んできましたが、地球流体を特徴づける回転、成層流体にふれたのはフロンティア着任後で、その振る舞いの多様性に魅せられています。 現在、地球シミュレータ上で稼働する予定の高解像度海洋大循環モデルの開発計画に参加しています。この計画は、全球を 0.1 度程度というたいへん細かいグリッドで覆い尽くして長期積分を行い、気候変動の予測に役立てようという野心的なものです。しかし、既存のモデルをそのまま用いては、地球シミュレータの計算能力を持ってしてもこのような高解像度モデルを走らせるのは困難で、膨大な時間がかかってしまいます。そこで、数値計算的な面からモデルの高速化に取り組んでいます。 現状の気候変動予測に用いられている海洋モデルでは、解像度が粗く、重要な役割を果たしている海洋の中規模渦を直接表すことができませんでした。高解像度モデルが完成したあかつきには、中規模渦をあらわに取り扱うことによって、気候変動の予測精度の向上に大きく貢献できると考えています。これは、地球シミュレータの能力を生かしたたいへん意義のある計算になることと思います。 |
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