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地球シミュレータは、共有メモリベクトル計算機640 台が高速のネットワークで結ばれた分散メモリ型並列計算機です。
この巨大な並列計算機能力を存分に生かした数値計算を行う際には、2 つのキーポイントがあります。ひとつは、ベクトル計算機向きで、大きなまとまりの計算を一気に行う計算が全体の中で卓越していること、もうひとつは、並列計算向き、つまり計算機間通信が比較的少なく、各計算機が同程度の負荷で計算できることです。
地球フロンティア研究システムでは、気候変動メカニズムの解明に向けて、これまで気の遠くなるような長い計算時間を要するために実現できなかった、世界初の大規模数値実験を、世界最大・最速の地球シミュレータ上で実行しようとしています。大気、海洋大循環モデル、および結合モデルの数値計算は、ベクトル計算機に向いていると言われています。しかし、従来使用してきた上記モデルのパラメータを変更するだけで、そのまま地球シミュレータ上での大規模計算が現実的に可能になるわけではありません。
一般に、並列計算は、使用する計算機の数が多いほど計算時間を短縮できるはずですが、実際には、計算機間の通信の仕方や計算順序のよしあしなどが全体の計算に影響を与えます。単一計算機上の計算では考える必要がなかった計算機間通信のバランスや、計算順序変更による影響を考慮する必要があります。並列計算に使用する計算機の台数が多ければ多いほど、並列計算のしかたによっては、並列の効果が得られないこともしばしばですので、これらの問題を注意深く検討しながらモデルを開発する必要があります。
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| 図1 並列化率とPE数および加速率の関係(アムダールの法則) |
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地球フロンティア研究システムでは、上記のことを踏まえて、東京大学気候システムセンターの協力、および複数の領域間協力のもとに、大気、海洋大循環モデルおよび結合モデルの気候変動現象の再現/検証を精力的に進めると同時に、地球シミュレータの仕様に詳しい地球シミュレータ研究開発センターと協力して、気候変動の様々な変動を再現でき、かつ地球シミュレータの能力を最大限に利用できる気候モデルを開発しています。
最終的には、従来、単一ベクトル計算機上で、約600 年待たなければ結果が得られない大気(T213L50 :水平約0.5 度)・海洋(水平0.1 度、鉛直50 層)結合モデルの1000 年積分を、約3 〜4 ヶ月程度で実現可能な超高解像度・結合モデルを開発する予定です。
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| 図2 並列化に寄与する計算の割合 |
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