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ユーラシア大陸で、気候変化に敏感に応答すると考えられる雪氷の存在するシベリアの水循環の解明は、アジアモンスーンと地球気候シス
テムの変動の理解にとって重要である。特に北極海近傍に河口を持つレナ河流域における水循環過程の解明は、アジアモンスーン域だけでなく北極域、さらには地球全体の気候形成にとっても重要になっている。ここ数年における研究により、シベリアタイガ帯の典型的な陸域(数km スケール)での熱・水交換の特性、地表層における水の蓄積、流出の特性が明らかになってきた。
2000 年にはこれらの基本的過程や地域特性の知見を元に、地上観測を増強し(写真1 )、また航空機を利用し立体的観測を実施した。観測領域はヤクーツク市の北側であり、タイガ林スパースカヤとアラス帯*に位置するティングルーを含む地域であり、観測期間の中心は2000 年4 月から6 月であり、積雪期、融雪期、森林の開葉前、開葉後を含む。その内4 月24 日から6 月19 日にかけて9 回の航空機観測を実施した。
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| 写真1 :地上観測地点の観測機器 |
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A )森林樹冠上観測タワー |
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B )林床放射観測ステーション |
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C )アラス草地観測ステーション |
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D )アラス池観測ステーション |
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航空機観測は、草地アラスが顕著に存在するレナ川右岸と成熟したカラマツ林とアカマツ林が存在するレナ川左岸のフラックスの空間分布をとらえるために、低高度(100 m と150m )でのグリッド状の観測を左岸と右岸とで実施した。またレナ川の存在による局地循環と大気境界層の構造を明らかにするために、左岸と右岸を結ぶ広域的な飛行経路を組み乱流フラックス**観測のために高度100m 、150m 、300m 、800m 、1500m
で観測を行った。
観測当日は航空機の最低飛行高度が100m と低く、地上から見える飛行機(写真2 )の大きさに日本・ロシアの研究者だけでなく、現地住民も驚かされた。またこのことがきっかけとなり現地住民が、我々の観測に関して興味を示し、現地観測への全面的な協力を得ることができた。
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写真2:レナ側右岸アラス草地観測ステーション上空を高度100m で飛ぶ航空機 |
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航空機観測は2000 年のみであったが、地上観測は現在も継続中であり、今後これらの複合解析により流域スケールでの熱・水交換の時空間特性を明らかにしていく予定である。
*アラス帯:
タイガ林で長期間の熱侵食により森林が無くなり草地状になった地帯のことを言う。アラス帯はタイガ林の中に虫食い上に存在している。
**フラックス:
ここでは“地表面での水・熱収支(水・熱の移動量)”を言う。
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