平成13年度プレス発表一覧






タイ北部の常緑林、最も乾燥する乾季後半に大量の水蒸気を大気中に放出
−新しい森林モデル予測が観測結果と一致−
田中克典研究員 水循環予測研究領域
読売新聞(2001.12.28 )等に掲載

プレス発表を終えた(準備中も含みます)後、自分がやっている研究のおもしろみを専門家でない人にも知っていただくのはとても大切だと実感しました。また、自分の研究を専門家でない人達からみるとどのように見えるのかを考えたり、指摘されていくなかで、研究をじっくり見つめなおすよい機会のように思いました。さまざまな人が(もちろん自分でも)「こいつはおもしろい」と思う活動を、今後も続けられれば幸いだと思います。


日本近海の海洋変動予測実験を開始
山形俊男領域長、宮澤泰正研究員 気候変動予測研究領域
日本工業新聞(2001.12.21 )等に掲載

今回の発表内容は、出来上がった成果を示すということの他に、海洋変動の予測とその検証という形でこれからも継続的に成果を出し続けていくという性格を合わせ持っています。そのために、研究者に加えて広報やデータバンクを始めとする多くの方々との共同作業に負うところが非常に大きいと感じています。これからも、こうした共同作業をより緊密なものにすることによって成果をより充実したものにしていきたいと考えています。


北太平洋から北大西洋への「大気の掛け橋」を発見
−アリューシャン・アイスランド低気圧間のシーソー現象の解明−
中村尚グループリーダー、本田明治研究員 気候変動予測研究領域
日本経済新聞(2001.12.5 )等に掲載

「大気の架け橋」によって北太平洋の循環変動が遠く北大西洋に及ぶ力学的メカニズムを理解してもらうのに苦労しましたが、広範囲の天候に影響を及ぼす現象であることに興味を持って頂いたと思われます。現在は冬の後半の欧州や極東の天候が厳冬季の北太平洋上の大気場の振舞いからどの程度予測できるかを調べています。また長期のデータの解析から、シーソー関係が強まる時期と弱まる時期があることが分かってきています。


インド洋のダイポール現象がインド・モンスーンとエルニーニョ/南方振動の相関に与えるインパクトを解明
山形俊男領域長、Ashok Karumuri 研究員、管兆勇研究員 気候変動予測研究領域
日本工業新聞(2001.12.3 )等に掲載

観測データと地球フロンティア大気大循環モデル(バージョン1.0 )による数値実験の結果を比較検討することにより以下の結果を得た。 (i )20 世紀の最近20 年間に着目すると、インド洋ダイポールモード(IOD )現象がインドの夏季モンスーン(ISMR )に多大なる影響を与えていた。

(ii )正のIOD 現象が発生している時、即ち東部熱帯インド洋における海面温度が通常よりも低い時、洋上の対流活動は弱まり、その結果下降流偏差をもたらして洋上では発散域となる。そしてベンガル湾やインド上のモンスーン・トラフに向かって通常よりも多くの空気塊が吹き込み、より強い収束域を形成する。その結果ISMR が強まる。負のIOD 現象が発生している時にはこれとは逆のシナリオとなる。

(iii )IOD 現象がISMR に与える影響はエルニーニョ/南方振動(ENSO )が与えるそれとは反対のものである。即ちENSO が発生している時にはISMR が弱まる。これはENSO とISMR とに負の相関関係があることを意味しているが、20 世紀の最近20 年間では強いIOD 現象が頻繁に発生していたため、この影響によりENSO とISMR との関係が不明瞭であった。 これらの結果により、赤道域とその周辺に影響を及ぼすIOD 現象がISMR の予測に対して重要な鍵となっていることが示された。そこで我々は現在、IOD 現象がアジアの気候に及ぼす影響についての詳細な研究を大気大循環モデルを用いて行っているところである。



大気間をわたるオゾン汚染
−東アジアの大気汚染物質放出が地球温暖化を促進−
秋元肇領域長、James Oliver Wild 研究員大気組成変動予測研究領域
読売新聞(2001.11.9 )等に掲載

越境大気汚染というとこれまで中国の汚染が日本へやって来るという話が多かったが、視野をグローバルに広げたのが新鮮味を持ってプレスに受けとめられたとの印象を持った。また温暖化対策にも絡んで、この発表でも焦点を当てたような、グローバル大気汚染と地球温暖化の相関の議論が、今後社会的にもかなり注目を集めるとの予感を持っている。(秋元肇)


数千キロも続くハワイの島影発見
−謎の亜熱帯反流はハワイの島影で形成されていた−
野中正見研究員、謝尚平研究員 国際太平洋研究センター(IPRC )
東京新聞(2001.6.5 )等に掲載

我々の研究成果は新しい現象の発見であり、大変強い興味を持って聞いて頂いた。一方で記者の方々の最大の関心は社会生活との関連にあり、その点ではあまり直接答えられなかった。この様な興味の置き方に研究者との違いを強く感じると共に、科学的のみでなく社会的にも貢献できる成果を得ることの重要性を再認識した。その影響もあり、その後我々は気候変動の理解に重要な北太平洋域への今回の成果の応用を試みている。


地球温暖化抑制のためにはNOx とCO の同時排出抑制が有効
−大気汚染ガスの地球温暖化影響評価手法を開発−
秋元肇領域長、James Oliver Wild 研究員 大気組成変動予測研究領域
産経新聞(2001.5.3 )等に掲載

今後中国など大発生源地域の大気汚染対策が地球温暖化対策へも役立つという趣旨で、「地球温暖化抑制のためにはNOx とCO の同時排出抑制が有効」という表題で発表したが、やはりマスコミはよりセンセーセナルな効果をねらって、新聞に載った記事では全てはそれを裏返しにした「NOx の削減は地球温暖化を促進」という視点からのものになっていた。おかげで環境省からの問い合わせなどに釈明する羽目になったが、それだけ関心を引いた証拠でもある。(秋元肇)

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