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観測データと地球フロンティア大気大循環モデル(バージョン1.0 )による数値実験の結果を比較検討することにより以下の結果を得た。
(i )20 世紀の最近20 年間に着目すると、インド洋ダイポールモード(IOD )現象がインドの夏季モンスーン(ISMR )に多大なる影響を与えていた。
(ii )正のIOD 現象が発生している時、即ち東部熱帯インド洋における海面温度が通常よりも低い時、洋上の対流活動は弱まり、その結果下降流偏差をもたらして洋上では発散域となる。そしてベンガル湾やインド上のモンスーン・トラフに向かって通常よりも多くの空気塊が吹き込み、より強い収束域を形成する。その結果ISMR が強まる。負のIOD 現象が発生している時にはこれとは逆のシナリオとなる。
(iii )IOD 現象がISMR に与える影響はエルニーニョ/南方振動(ENSO )が与えるそれとは反対のものである。即ちENSO が発生している時にはISMR が弱まる。これはENSO とISMR とに負の相関関係があることを意味しているが、20 世紀の最近20 年間では強いIOD 現象が頻繁に発生していたため、この影響によりENSO とISMR との関係が不明瞭であった。
これらの結果により、赤道域とその周辺に影響を及ぼすIOD 現象がISMR の予測に対して重要な鍵となっていることが示された。そこで我々は現在、IOD 現象がアジアの気候に及ぼす影響についての詳細な研究を大気大循環モデルを用いて行っているところである。
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