領域ニュース



気候変動予測研究領域

 IOD (Indian Ocean Dipole )の発見者であるSaji さんが1 月いっぱいで気候変動予測領域を辞め、国際太平洋研究センターに移動しました。Saji さんのこれまでの研究をご紹介いたします。

 私ことSaji Hameed が地球フロンティア研究システムに参加したのは1998 年2 月のことでした。ここで行った最も重要な仕事は、インド洋ダイポールモード現象を世界で初めて示したことであり、これを契機としてその後、山形領域長をはじめ同僚の研究員とともに、その空間構造や盛衰過程を明らかにしてきました。それは、海面水温偏差の双極分布がインド洋の赤道上を吹く東風の変化と手と手を取り合って発展していくというものでした。そしてこれはインド洋東部赤道域に見られる大規模な対流域を西に移動させ、それによってスマトラ島付近の干魃、アフリカ東部の洪水をもたらします。山形領域長との最近の研究では、インド洋ダイポールモード現象がインド洋上のウォーカー循環やハドレー循環にも影響を及ぼすことがわかりました。そしてこのような大気大循環の変化が、テレコネクションを通してインド洋から遠く離れた場所の気候にも影響を及ぼし得ることも示されました。例えば、インド洋ダイポールモード現象が現われると、日本の夏は通常よりも暑く、また南アフリカの春は例年よりも暖かくなります。

 現在国際太平洋研究センターでは、このような大気のテレコネクションをもたらす力学的・熱力学的機構について研究しております。


水循環予測研究領域

 GAME (全球エネルギー水循環研究計画、アジアモンスーンエネルギー水循環観測研究計画)国内集会が1 月8 、9 日に京都大学会館で開かれた。領域長の安成をはじめ、木村、藤吉各グループリーダー、坪木、沖、増田、高田、山崎、田中、馬らが参加した。会議では、大河川流域の水収支項の季節変化、寒冷圏の流域における陸面水文モデルの相互比較PILPS2 (e )について、夏のアジア域水循環に及ぼす海陸分布及び山岳の役割等の研究が紹介された。 また、雲・降水グループで行っている、梅雨前線上に発生したクラウドクラスター(1998 年7 月2 日)のモデル比較実験結果を藤吉グループリーダーが紹介し、問題点について述べた。

 GAME はこれまで地域強化の観測を中心に行われてきたが、今後の第2 期では、観測データの解析やモデリングによって理解を深めることが中心となる。作業グループの構成も地域別ではなく、プロセス別(陸面過程、雲・降水、モンスーンシステム研究、水・エネルギー収支など)にする計画である。


地球温暖化予測研究領域

 PICES MODEL/REX Task Team Workshop について上記のワークショップが1 月26 、27 日に根室で、29 日に地球フロンテア研究システムで開催された。コンビーナーは地球温暖化研究領域の岸がつとめた。

 平和中島財団からの資金援助を受けて、PICES 加盟各国からアメリカとロシア各3 名、カナダ、中国、韓国各1 名の9 名に日本から10 名ほど(地球フロンティアからは岸の他、山中康裕、Lan Smith 、千葉早苗、田所和明の4 名)の参加で、2000 年に同様のワークショップで作られたNEMURO (North pacific Ecosystem Model for UnderstandingRegional Oceanography =これをもとに、山中グループは低次生産系をフルに含んだ炭素循環モデルを作成したのは承知のとおり)に多獲性魚類のbioenergetic model を結びつけたものを作成した。

 これにNEMURO.FISH (NEMURO For Incorporating Saury and Herring )と名付けた。これはまだ未完な問題を多く含んでいるが、今後の発展が期待されている。

 大雪で飛行機が欠航したため、フロンティアでの講演会が一部キャンセルになったのは残念であった。


大気組成変動予測研究領域

 アジア大陸上で発生した大気汚染物質は、どのようにして西太平洋域へと流出しているのだろうか?

 この疑問に答えるため、宇宙開発事業団は国内外の研究者と協力し、航空機を用いた集中観測The Pacific Exploration of Asian Continental Emission phase - A (PEACE-A )を1 月6 日から23 日にかけて実施した。

 期間中、当領域から滝川雅之研究員が鹿児島の観測基地に赴いて化学天気予報を提供し、観測機の航路決定に多大な貢献をした。同研究員が開発した予報システムは、約30 種の化学種の大気中への放出・移流拡散・光化学反応過程を大気大循環モデルに組み込んだもので、光化学オキシダントや硫酸エアロゾルおよびそれらの前駆物質のグローバルな濃度分布を4日先まで予測する。寒冷前線通過にともなう汚染物質の流出も予報し、見事的中させた。


図:1月20日に予報された21日の化学天気図。黄色はCO、緑はNOx、白はSO2の高濃度領域に対応し、赤色は地表オゾン濃度が高い地域を表す。この予報をもとにして21には日本列島南沖の観測飛行が実施された。


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