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FORSGC Activity
 


インドネシア海洋大陸を中心とした
広域水循環の観測研究


森修一( 地球観測フロンティア研究システム水循環観測研究領域)



  ンドネシア海洋大陸は世界でも有数の多雨地域であり、この地域の大気は活発な積雲対流活動を通じて大規模な東西循環(Walker循環)および南北循環(Hadley循環)を駆動している。このように同地域は「水・エネルギー循環における空の十字路」としてアジアモンスーンを含む気候メカニズムにおいて極めて重要な位置を占めているにも係わらず、地上および高層気象観測データが圧倒的に不足している地域でもある。したがって、気候変動予測研究の面からだけではなく積雲パラメタリゼーションの改善や衛星観測データの検証等の観点からも、同地域における継続的な現地観測データの収集と解析が期待されている。




図1 スマトラ島周辺に降る雨の日変化と観測拠点であるコトタバンの位置(+印:0.2S, 100.3E)(上)。赤は午後(12-23LST)に降る雨が多く、青は午前(00-11LST)に降る雨が多いことを示しており、海陸による雨の降り方に大きな差があることが分かる。また、コトタバンにおけるGPSレーウィンゾンデ観測(下図の線グラフ)からは上空2-3kmの風(東西風u, 南北風v)や水蒸気量(Specifichumidity)にも明瞭な日変化が示されており、降水量(右図の棒グラフ)の日変化との間に強い関連性があることが分かる。

  現在、当グループではスマトラ島コトタバン地区(図1)を拠点として、熱帯赤道域で重要な日周期変化を解像できる高精度な気象観測を展開している。特に年間のべ100日以上にわたる3〜6時間毎のGPSレーウィンゾンデ観測(図2)を初めて実施し、大気構造の詳細な変化と熱帯域特有の激しい降水現象等との相互作用やENSOなど大規模な気候変動システムとの関わりを研究している。また、GPS(GlobalPositioning System)による可降水量短時間変動観測や水安定同位体分析等の手法を用いてタイ、ネパール、チベット、シベリア等の広域にわたる水蒸気移動やリサイクル過程も並行して調べている。


 

図2 コトタバン観測所におけるGPSレーウィンゾンデ放球前の様子(左)。現地スタッフの左手に持っているのがゾンデ送信機で、地上から上空約30kmまでの気圧、温度、湿度、風を高度約10m間隔の高分解能で計測することができる。2001年11月における観測データ例(上)からは、大気下層の水蒸気分布や東西風の交代、約-90℃に達する対流圏界面付近の温度構造などの細かな変化見ることができる。

 

  インドネシアではエル・ニーニョ時の大規模森林火災やラ・ニーニャ時の大雨・洪水など自然災害も多く発生しており、日本の観測研究活動に対する相手国政府からの期待も高い。今後は気候変動予測に対して重要な素過程研究だけではなく、防災支援など日本の国際貢献として現地社会に還元可能な研究成果を出していきたいと考えている。


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