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Research Project for Sustainable Coexistence of Human, Nature and the Earth

四次元同化システムの高度化及びデータセットの整備

空間三次元に時間を加えた四次元のデータ同化を実現することにより、今まで予測が不十分であった現象の予測精度が上がり、また、観測データが少ない地域での現象の理解が進みます。研究代表者である淡路グループリーダーがこの難しい課題の取り組みに関して、抱負を語ります。

淡路敏之
(地球フロンティア研究システムモデル統合化領域データ同化グループグループリーダー)
Research Project for Sustainable Coexistence of Human, Nature and the Earth
  プロジェクトは、近年目覚ましい進歩を遂げた地球観測システムと大循環数値モデルを活用して、時空間的に断片的な観測データと全予報変数値を全格子点で連続して得られる数値モデルの利点を相乗的に引き出せるよう四次元データ同化システムの高度化を図るとともに、これにより"再解析データセット"と呼ばれる空間的にも時間軸方向にも物理的整合性のある四次元統合データセットを構築して、地球温暖化や水循環予測の高精度化に求められる品質の良い初期値化用データの作成を主目的としている。

  高品質の初期値化用データセットの重要性は、例え予測モデルが完璧であっても、予測結果は初期値に左右されることをふまえれば論を待たないであろうし、また、現象を支配する重要な物理パラメータの最適推定がデータ同化により行えることから、ヨーロッパ中期気象予報センターや米国環境予測センターの例を出すまでもなく、気候変動メカニズムの解明に再解析データは極めて有益な基盤データである。

  最適化理論を用いたシンセシス技法として数値天気予報等の分野で注目され発展してきたデータ同化は、OIと呼ばれる最適内挿法とVariationalと呼ばれる変分法に基づく2種類に大別できる。

  前者はどちらかと言えば観測値とモデル値の統計補間であるのに対して、後者は数値モデルを介した観測値の力学補間と言える。このことが、変分法による再解析データセットは物理的整合性のある統合データセットだと言われる由縁であり、力学予測やプロセス解明の切り札となる。しかし、その計算負荷はシミュレーションモデルの100倍を超える。そのため、これまでの計算機資源環境下における変分法を用いた全球大循環データ同化システムの構築・運用は、例えば大気モデルの分解能は約1度(100km)が限界で、さらに、3DVARと呼ばれる空間三次元の力学補間にとどまらざるをえない等の制約があった。

  このような制約は地球シミュレータなら打破できる。すなわち、単体モデルではなく結合モデルを用いて、さらに、空間三次元に加えて時間軸方向にも力学的整合性を確保できる四次元フル結合データ同化システムの構築が可能である。その際、変分法同化手法として、ある期間内の観測データにベストフィットする解析データの作成に最適なアジョイント法と予測誤差の評価に最も優れたアンサンブル手法を併用すれば、全予報変数の初期値とその時間微分を精度良く求められる先端的な同化システムを作成できる。結合モデルを用いたものではないが、これに類したデータ同化の結果の一例を図1に示す。


図1 同化結果を初期値に用いた通常の予測(太実線)アンサンブル予報結果(点線)(地上気温)
太破線はその後の観測データを同化した再解析データ(真値に近い)(Palmer, 2000.(Rep.Prog.Phys.,63))
上:予測可能な期間の例 下:予測不可能な期間の例



  同化による初期値を用いた予測結果(太実線)は、その後の観測データから求めた解析値(真値に近い;波線)のトレンドと大差はなく、また予測精度や予測可能性等に関する詳細な情報がアンサンブル結果(細線)から得られる。結合モデルを用いれば、一層、解析精度は高まり、予測スキルも向上すると期待される。さらに、現象をtrace backできるアジョイント法を併用すれば、大気から海洋、海洋から大気へのシグナルのフィードバック過程が分かるので、今後の気候変動研究や観測システムの展開に大いに貢献するであろう。

  本プロジェクトは確かにチャレンジングである。しかしながら、人類の課題である地球環境の解決に向け今後5年間に巨額な研究投資がなされる共生プロジェクトにあっては、同様な研究開発が既にヨーロッパ中期気象予報センターや米国環境予測センターでもなされつつある現状と今後の進展をそれこそ予測して、5年後の時点において世界に発信しうる目標設定をしなければ意味をなさない。その実現に向け本プロジェクトでは、観測統合情報データセットの整備から同化システムの高度化及び社会への効果的な情報発信システムの作成までをカバーする5つのサブテーマを設けた。これらはいずれも、国内外の諸機関との競争的連携なくしては達成はおぼつかない。皆様の叱咤激励をお願いする次第である。

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