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| 図1 |
中国の珠江デルタ(PRD)地域の位置。この研究範囲はランドサットTM画像の一つの区画に相当する。 |
衛星を基礎とした研究では、中国で、かつてないほどのスピードで土地被覆変化が起こっていることを示しています。最近のリモートセンシング分析(Seto
2002)では1988年から1996年の間に中国の珠江デルタ地区の都市面積が300%を超える割合で増加していることを示しました。一方、原野や農地はそれぞれ約6%、10%の割合で減少しました(図2)。これらの変化がどのようにこの地域の陸域炭素循環に影響を与えるのでしょうか?それに答えるために私たちは衛星リモートセンシング、生態系過程モデリング、そして生態系データを利用して、炭素循環の2つの構成要素である純一次生産や生態系炭素貯蔵量などへの土地被覆変化がもたらす効果を調べました(Dye
et al., 2002)。
| 図2 |
珠江デルタ地区における主な土地被覆の種類。1988-1996年の間の土地被覆変化は黄色で示されている。これらの変化は大気への炭素の放出という結果になった。 |
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広東省の珠江デルタ地域をランドサットTM衛星センサーで観測した画像。
(上が1988年、下が1996年)
緑の植生は赤色で、都市面積は黄色で表されている。経済開発による急激な都市化はこの地域の植生を取り除き、この地域の陸域生態系の炭素貯蔵量の減少という結果をもたらした。
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我々の分析結果によると、1988年から1996年の間に珠江デルタ地域での土地被覆変化は、年間の純一次生産量と炭素貯蔵量の両方を減少させたことによりこの地域での炭素循環に影響したことを示しています。土地利用変化の主な傾向は原野及び農業から都市利用への転換でした。一般的に都市化は植生(森林、草原、もしくは農作物)が除去され、道路、建物、その他の都市施設に置換されます。都市化の結果として、植物の純一次生産を通して大気から植生へ同化される炭素の量は年間1.5メガトン(−7.5%)減りました。この結果は全体の光合成量やその地域の生態系の炭素固定能の減少を示しています。この純一次生産の減少の半分以上(55%)は農耕地の減少によるものです。この都市化は陸域炭素貯蔵量から12メガトンの炭素を放出しました。そのうちの19%が土壌からで81%が植生から放出されたものでした。この放出された炭素量は珠江デルタ地域の化石燃料消費の13%に相当します。都市化が主な変化タイプのため、生態系にとって植生を再成長させ、失われた炭素を再び獲得する可能性は低く、よって、土地被覆変化が珠江デルタ地域の陸域炭素貯蔵量を大きく下げてしまったことになります。
今後の社会経済的推進力の大きさや速度は、気候変化の可能性と共に中国の土地被覆変化に影響を与えるでしょう。この影響により、今後数十年間の地域炭素循環は減化するか、又は減少するかが決まってくることになります。
参考文献
| Seto, |
K., 2000, Monitoring andmodeling land-use changein the Pearl River
Delta,China, using satellite imageryand socioeconomic data,Ph. D.
thesis, Department of Geography, Boston University. |
| Dye, |
D., Hinchliffe, T., andWoodcock, C., 2002, Effects ofland use change
on the carboncycle in southern China.(Submitted to Asian Journalof
Geoinformatics) |
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