偏微分方程式解についてのワークショップ開催報告

2004年7月20ー23日に横浜研究所三好記念講堂で、「2004年球面上の偏微分方程式解についての国際ワークショップ」 The 2004 Workshop on the Solution of Partial Differential Equations on the Sphere(主催者: M. Satoh, P. Swarztrauber, J. Drake, D. Williamson)が開催されました。このワークショップの目的は、「大気や海洋モデル等で用いられる球面上の偏微分方程式を、限られたコンピュータリソースで如何に速くかつ正確に解くか」を議論することにあり、毎回、特に数値シミュレーションモデルの開発者や数値アルゴリズムに詳しい専門家を中心に多くの研究者たちが参加しています。約2年に1度の頻度で各国の研究グループが持ち回りで開催していますが、今回は地球環境フロンティア研究センター(担当:地球環境モデリング研究プログラム/次世代モデル開発グループ)が主催しました。
 ワークショップ当日は各国から70名近い参加者があり、会合は活況を呈していました。焦点となった主な議論は、各種保存スキームや非負の移流スキームといった新しい移流スキーム提唱、正二十面体格子や立方格子モデルあるいは陰陽格子モデルといった球面上での格子の分割方法とその離散化方法、現行の主流であるスペクトル法の最適化問題、非静力学方程式の定式化方法、解適合格子の有効性、新しいモデルの妥当性検証のためのテストケースの提唱等です。これらの議論は、各研究者の用いているコンピュータ環境にも依存するので、常にコンピュータリソースの観点(並列化、アーキテクチャー等)を含めて議論されました。また、地球環境フロンティア研究センターおよび地球シミュレータセンターからも多くの発表が行われ、特に地球シミュレータを使った高解像度の計算は、海外からの多くの参加者の興味を引いたと 思われます。

今回のワークショップの特徴の一つは、質疑応答が非常に活発であったということです。理由の一つには一人当たりの講演時間枠が比較的長かったため十分に質疑応答の時間を取れたということもありますが、何よりも聴衆の多くがそれぞれの話題に関するかなり深い部分にまでバックグラウンドを共有していたということが大きいと思います。そのせいか、通常の学会等では式や計算スキームの詳細を示すとかえって理解してもらえないことが多い中、今回のワークショップではむしろ逆に質問者の方が式やモデルの詳細を示すよう求めることが多く、おかげで細部に至る部分にまで活発な議論が行なわれました。また、世界の主要なオペレーションセンターからの参加も多く、次世代モデル開発グループにおいて開発中の次世代大気海洋モデルに関する議論、情報交換等ができ、同時に次世代の力学コアの戦略についての把握および相互理解が深まったことは非常に有意義でした。
 なお、本ワークショップでのプレゼンテーション資料は、参加者全員へ配布されるとともにインターネットを通じて公開される予定です。次回のワークショップは、モントレーにて2006年に開催される予定です。



Frontier Newsletter/No.26
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