2004年11月26日、箱根プリンスホテル会議室において、SINTEX-F1ワークショップが開催されました。本ワークショップの目的は、EUJAPANの研究協力の一環として進められているSINTEX-F1モデルの更なる物理的パフォーマンスの向上や、地球シミュレータ上での最適化を目指し、関係研究者で討議課題を絞って、集中的にディスカッションするものです。ワークショップでは、山形プログラムディレクターを中心に、インド洋ダイポールモード(IOD)の重要性を全世界に向けて発信するにあたり、SINTEX-Fモデルが果たしてきた重要な役割と今後の予測可能性実験に向けて現在行なわれている幾つかの基礎的研究が紹介されました。IODは基本的にはエルニーニョ南方振動(ENSO)と同種の熱帯の大気海洋相互作用で生じる現象と考えられますが、太平洋とは決定的に異なる地理的条件を始めとする幾つかの条件の違いが、インド洋でのスケール間相互作用を活発化させており、それが予測可能性を難しくさせている事が確認されました。EU側はSINTEXプロジェクトの代表であるINGVのNavarra氏が主に予測手法に関する研究活動の全体的レビューを行なった後、他の参加者が季節予報やインドモンスーンに関する最近の研究紹介、また現在行われているモデルの改良と開発状況についての報告を行いました。最後に、今後もEU側とSINTEXモデルの物理的および計算科学的改良と開発を共同で推進し、インド洋モデリングプロジェクトに積極的に貢献する事を確認しました。

2004年7月より水循環変動予測研究プログラムに着任した原政之研究推進スタッフを紹介します。
2004年7月より筑波大学生命環境科学研究科から陸面水循環過程グループに着任しました。大学院では、ヒマラヤ山脈南麓に降雪をもたらす擾乱の解析を領域気象モデルを用いて行っていました。
現在取り組んでいる主な研究テーマは、アジアモンスーン地域における対流活動の日変化のメカニズムの解明です。アジアモンスーン地 域では、モンスーン期に大量の降水がもたらされます。特に、ベンガル湾周辺域では降水が多く、顕著な日変化が見られることや、海上と陸上では異なる日変化が見られることが衛星観測などから知られています。この日々生じている強い対流活動がモンスーン循環へ与える影響は小さくないとみられます。このような対流活動の日変化のメカニズムを解明し、アジアモンスーン域で見られる様々な現象の解明や気候変動の予測精度の向上に貢献したいと考えています。

パトラ研究員は2005年1月16日から20日までサンディエゴで開催されたAGU Chapman Conference on The Science and Technology of Carbon Sequestrationに出席しました。従来の会議とは異なり、全ての発表が自然または人為起源の炭素吸収源の検証、評価による炭素循環に関する研究の応用を目的として進められました。
海洋堆積物や生物圏などの自然の炭素吸収源と油田や地殻の人為起源の吸収源の強制的な増加の問題について詳しく議論し、複数の方法で大気中の二酸化炭素の増加を制御しなければならないという意見で一致しました。京都議定書の発行に基づき、参加国は公約を果たす義務が課せられており、既に、大気中の二酸化炭素の増加を緩和するための炭素の固定に関する科学技術は開発されています。近い将来、炭素固定技術は確立されるかもしれませんが、海洋生物へ影響を与えずに二酸化炭素を吸収させる方法など、長期的な影響は分かっていません。また、各国によるカーボンクレジットの立証はもう一つの深刻な問題で、二酸化炭素の逆モデル、予測モデルの研究を通して貢献することができると思われます。
 
Frontier Newsletter/No.27
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