2005年8月に気候変動予測研究プログラムに着任された田村仁ポスドク研究員を紹介します。
  2005年8月より気候変動予測研究プログラムに着任いたしました。着任以前は東京工業大学大学院情報理工学研究科に在籍し、主にサン ゴ礁海域の物理環境を対象として研究を行っておりました。そのため、毎年夏季には沖縄本島、慶良間列島、宮古島、石垣島といった沖縄の 島々を転々としていました。
 特に石垣島では、今も新空港建設や赤土汚染が問題となっている東海岸 を研究フィールドとして、一ヵ月以上滞在し現地観測を行っていました。一方、夏季以外の季節では研 究室にて数値計算を主とした解析を行っておりました。サンゴ礁は水深5m程度の極浅海域のため、そ のような浅場を対象とした数値流動・熱輸送モデルを開発し、流動特性や各サンゴ群落周辺における 温熱環境の評価を行っておりました。地球環境フロンティアでは主にJCOPEモデルに海洋波浪モデル を結合することで海流・波浪予測モデルを構築することと、それらの応用面での活用を目的として研 究を行う予定です。

 当研究プログラムのメンバーの多くが参加してきたGAME(アジアモンスーンエネルギー・水循環研究観測計画)は公式には2005年3月 で終了した。GAMEを発展的に継承し、アジアでのGEWEX(全球エネルギー・水循環研究計画)に関連する研究を推進するための新しいわ くぐみの準備が進められている。まだ名称も詳しい内容も検討中であるが、その一段階として8月28日に京都で開かれた国際ワークショップ で議論された構想はおよそ次のようなものである。
  主目標は、アジアモンスーンのよりよい理解を通じて、季節までの時間スケールの水文気象予測の能力を構築することである。また、土 地利用変化・エーロゾルや温室効果気体の放出などの人間活動が水循環に及ぼす影響の解明も重要課題のひとつである。対象地域はモン スーンアジア全体であるが、熱帯アジア(GAME-Tropicsで扱ってきたインドシナ半島のほか、インドネシア海洋大陸やインド亜大陸も含む)、 チベット・ヒマラヤ、東アジア、北東アジア(モンゴルなど)の4つに分けて考えることもできる。なお、シベリアの水循環研究は、国際的には おもにCliC(気候と寒冷圏研究計画)の一環として推進される。

 6月12日〜17日にプラハで「The Acid Rain 2005 Conference」が開催され、40カ国以上/600名以 上の科学者が集まりました。当プログラムからは、朱、Pochanart、顔各研究員、大原SLが参加しました。 この会議は5年ごとに開催され、前回はつくばで、また次回2010年の北京では、当プログラムに以前所 属していた王自発氏が議長を務めます。
 この会議での議論は年々発展しており、酸性雨の原因や影響に 関する問題から始まり、これらの問題の緩和策とその結果、 また現在ではその他の汚染物質の影響についても議論が行われており、 これを受け、次回の会議名は「Acid Rain and Air Pollution」とすることが提案されています。

酸性雨問題はヨーロッパや北アメ リカ地域で70年代に発生し、魚類や森林に悪影響を及ぼしました。現在これらの地域での硫 酸・窒素排出量は減少し、多くの場所では土壌や水の酸化が止まり生態系も回復し始めてい ます。しかし一方、中国、日本、インドを始め他の地域では硫酸・窒素排出量は急増しており、 人体、淡水、陸域生態系に深刻な影響与えています。そのため、これらの地域での更なる研究 や政策の策定が必要となっています。
 
Frontier Newsletter/No.28
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