Newsletter No.3 July-1998 

 研究者紹介(つくば共同研究サテライト) 
Introduction of the researchers
(Joint Research Satellite Facility at Tsukuba)
 
 

鈴木 力英
Dr.Rikie Suzuki

 図は、アジア北部における1990年の夏季の植生状態を示したものです。緑の部分は緑の葉の量が多い地域を、茶色の部分は少ない地域を現しています。1980年代より、図に示したような植生の状態が気象衛星によって全球にわたってモニターされ、研究に利用されてきています。
シベリアの大地は広くタイガ林によって覆われており、この様子が図上からも読み取れます。タイガ地帯は降水量が年間200〜300o程度と少なく、この降水量は森林がほとんど存在せず草原や砂漠の広がるモンゴルと同等です。いわば「乾燥気候」であるシベリアに大森林地帯が発達している理由の一つには、大地に形成される永久凍土層が不透水層の役割を果たし、降水を地表面近くで保持し、森林の生育する水分を確保しているという説があります。広域における植生と気候との関わり合いはいまだ不明の部分も多く、興味は尽きません。私は主にシベリアにおいて衛星観測による広範囲な植生状態と大気との結びつきに注目して研究を進めています。

 The figure below shows the vegetation covering northern Asia in the summer of 1990. The green and brown colours indicate the areas where the quantity of green leaves is thick and sparse, respectively. Since 1980, the aspects of vegetation as shown in this figure, have been monitored by the meteorological satellite, and utilized for the researches. From this figure, you can see that the Siberian land mass is covered with the taiga forest.


アジア北部における1990年の夏季の植生状態
The vegetation cover over northern Asia in the summer of 1990.

 In the taiga zone, total precipitation per year is the fairly small amount of about 200 - 300mm, which is comparable in quantity with that in the Mongolian plain, where forest rarely exists, only with wide grassy plains and /or deserts. One of the reasons why there is such a big forest zone in Siberia, may be that the tundra formed in the ground creates an impermeability layer which keeps precipitated water near the ground surface, and secures it to nurture the forest. Some parts of the interrelation between vegetation and climate still remain unclear, which, in turn, arouses my interest. I am now proceeding with my research, which encompasses the connection between a wide variety of vegetation aspects as observed by satellites, and the atmosphere in Siberia.



田 少奮
Dr.Shao-Fen Tian

 季節変化の1つのステージとしての華中における春の長雨をとらえ、そのメカニズムを研究していましたが、モンスーン域の季節現象に興味をもっています。地球フロンティアではアジア半乾燥地域における降水変動や降水・植生相互作用の研究に取り込んでいきたいと思います。
 アジアの半乾燥地域は夏のモンスーンの北限に対応しているといわれている。したがって、これらの地域はモンスーン循環と中緯度のシステムの両方の影響を受けるはずである。しかし、半乾燥地域の降水に関する研究が少なく、降水のスケール、水蒸気源、そして降水におけるモンスーンの役割はほとんど分かっていない。
最近40年間、中国の半乾燥地域で降水量は減少傾向にあり、気温は上昇傾向にあるため、地球温暖化の影響と言われている。また、温暖化が進んだ場合、降水量が変化しなくても、降水の回数が減り、豪雨が増え、干ばつか洪水かになるという数値実験の結果がある。この結果の妥当性を議論する前に過去数十年間のデータで、降水の形態に変化があるかどうかを調べる必要がある。
 これらの半乾燥地域は砂漠化進行中か潜在的に砂漠化する恐れのある地域が多い。また、植生分布は平均的な気候分布とよく対応している。しかし、降水などの気候条件が変化した場合に、植生がどう応答するかは明らかでない。衛星データ(植生指数)でとらえた広域の植生分布の季節変化や経年変動と降水の変動との関係を調べる必要がある。
当面は半乾燥地域での降水の空間スケール、モンスーンとの関係、水蒸気源を中心に解析する予定です。今後、現地調査にも出かけて、植生を含めた半乾燥地域での水循環に関連する現象を幅広く研究していきたいと考えています。領域やグループを問わずに、研究員の皆さんと研究交流を図って行きたいと思います。


- 6 -