Newsletter No.3 July-1998 

 海外の地球変動研究機関紹介 
Introduction of the Global Change Research Institutes in the World
 
 
本ニュースレターでは、世界の地球変動研究機関をシリーズで紹介しています。シリーズ第2回目の今回は、今年5月より気候変動予測研究領域に参加されたDr. Alexander S. Kazminさんに「ロシア科学アカデミーP. P. シャーショフ海洋研究所(IORAN)」を紹介していただきます。



1. 研究所の名称と住所: ロシア科学アカデミーP. P. シャーショフ海洋研究所(IORAN)
36 Nahimovsky prosp., Moscow 117851 Russia
ホームページ http://www.sio.rssi.ru/
2. 研究所の概要:  IORAN(科学アカデミー海洋学・大気物理学・地理学部に帰属)は、ロシア最大の海洋学研究所として、1946年に設立されました。同研究所では、大陸棚や沿岸地帯を含む世界の海洋を多角的に調査しています。モスクワに本部を構え、黒海、バルチック海、白海に支部があります。本部には、600人以上の科学者、400人以上の技術者を含む約1,100人(支部および調査船のクルー等を含めると2,000人以上)のスタッフがいます。主に、物理、地質、生物、技術(海洋設備用)、そして研究支援の部門で構成され、12隻の調査船と6隻の有人潜水艇を使って、海上、海中で研究調査活動を行っております。現在ラッポ・セルゲイ・セルゲウィッチ教授が研究所長として、総合管理、研究活動の指導を行っています。 3. 主な研究分野:
  • 海洋物理学:海洋力学、海洋-大気相互作用、気候、水中音響学、海洋光学、リモートセンシング、海洋モデリングなどに関する幅広い研究
  • 海洋化学:自然および人為的要因による海洋中の化学物質の分布に関する研究
  • 地質学および地球化学:海底堆積物の種類と形態、物質流動、海水・海底間の物質交換、鉱物堆積物の研究、熱水活動域の調査
  • 生物学:海洋生態系と自然および人為的影響によるその変化に関する研究、世界海洋の外洋性動植物と底生動植物の研究、一次生産、富栄養化問題、生化学的研究
  • 水中探査(水中探査用設備、有人潜水艇):水中音響測定の研究、海底地形、水中物体の探査と観察、観測・サンプリングを行うための有人潜水艇による潜航
  • 海水および堆積物中の炭化水素および産業汚染の推定:石油汚染の浄化
  • 沿岸および大陸棚地帯:自然および人為的要因による影響調査、生態系の変化予測、海洋構造物のための沿岸域の海洋現象の推定・予測法。
4. その他: 研究所は国内外の多くの研究プロジェクトと提携しています。例えば、「大洋と海の総合調査」、「北極と南極」(ロシア国内計画)、JGOFS、WOSE、GIOBEC、UNEP、GESZAMP等に幅広い協力と支援を提供しています。
設立以来50年、IORANによる世界レベルの海洋学上の発見は数多く、深淵、複雑、かつ基礎的な世界の海洋情報を提供してきました。発行論文数だけでも500を越えています。IORANの卓越した科学者たちは、国際的な海洋学会で高い評価を受けており、海外で活躍する機会も多く得ています。


Dr.Alexander S.Kazmin
アレキサンダー・カズミン

 私は、モスクワ州立大学で海洋学の博士号を取得した後、1979年12月からIORANに参加し、海洋学研究を常にリードしていた故K.N.フェドロフ教授率いる研究室で研究を行いました。当時のテーマは海洋境界とリモートセンシングでした。1980年から1992年までは主に調査船に乗り、世界の海洋調査に従事しました。そして、調査船によって得られた測定結果と衛星データを結合させ、様々なスケールの海洋境界の内部構造と概括的変化を調査しました。また、この調査を通して世界を旅する好機を得ることもできました。その後、私はどちらかといえばインドアでの研究に重点を置くようになり、現在は海洋境界帯の長期的変化を表わす、地球規模の長期的SST衛星データシリーズの研究を行っています。
 このIORANにおける経験のお陰で、様々な国のプロジェクトに参加するチャンスを得ており、この研究所のスタッフであることに誇りを感じています。


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