プログラムニュース
気候変動予測プログラム
野中正見研究員によるワークショップの報告です
  2006年7月19日〜22日に青島の中国海洋大学において、海洋循環と気候に関する国際ワー クショップが開催されました。北京での大きな会議の直前という時期の良さから、参加約40名の半数近 くは海外からでしたが、その半数は国外で国際的に活躍する中国系研究者でした。近年、そのような研 究者が中国本土へ戻り、各地の研究所で活発な研究を牽引しつつありますが、このワークショップもそ の様な一人である、Lixin Wu教授が企画実行に大きな役割を果たしていました。
F. Schott,M.McPhaden, J. McCrearyといった著名な研究者の講演で始まった研究発表は熱帯域、中高緯度域の大気、海洋、或いは 海面過程、そして大気海洋相互作用などの多様な話題に及び、それぞれにおいて中国国内でも非常に盛んな 研究が行われていることが実感されました。   朝8時から夕方6時までじっくりとワークショップが行われましたが、夜には街へ出て、本場の 青島ビールを堪能しました。街へ出ると、中国経済の活発さが身にしみて感じられます。その好調な経済を 反映してか、中国での海洋研究の予算はこの5年で倍増しているそうで、中国での海洋研究が今後益々盛んに なることが予感させられました。
 
水循環変動予測研究プログラム

橋梁は地面への熱伝導と地形の影響を抑える。
橋梁は地面への熱伝導と地形の影響を抑える。

熱を効率的に逃がす構造の盛土の上に線路が敷かれている。
熱を効率的に逃がす構造の盛土の上に線路が敷かれている。

斉藤和之研究員の研究を紹介します
  現在の地球の気候状況において、永久凍土と季節凍土とを併せた凍土の分布域は、陸域 寒冷圏のなかで最大の面積を占めています。北半球陸域(氷河・氷床を除く)では、その半分以上が 凍土に覆われていると推定されます。ちなみに、同様に広範囲を覆う季節積雪は最大で北半球陸域の 45%程度を占めています。
  凍土の深さは地域によって大きく異なりますが、自然のあるいは人為的な擾乱により地表付近での凍結の 程度が弱まると、その影響は局所的な水文気象(土壌保水能や蒸発量の変化など) や植生、社会経済活動(社会基盤や建造物の倒壊、交通の阻害)のみでなく、様々な 物理・化学・生物的相互作用を通して領域あるいは半球規模にまで及ぶと考えられます。これらの過程の中からより本質的 なものを抽出・実装し、凍土と気候の変化やその影響をより精度よく推定するモデル開発・改良を行っています。
  このような影響は高緯度、高標高域でより早く強く現われると考えられています。 2006年8月に、中華人民共和国蘭州で行われたアジア永久凍土学会および青海チベット鉄道による巡検に参 加しました。チベット高原での近年の観測から、永久凍土が始まる標高(4200m程度)が高くなっているという報告があります。
<写真>青海チベット鉄道:異なる地形・地面・気候状況下で凍土への影響が最小限になるような工法 を様々に研究した上で線路が敷設されている。
 
大気組成変動予測研究プログラム
伊藤研究員と石島研究員の研究を紹介します
  人類は火を使うことを覚え、他の生物にはない能力を手に入れてきました。開拓時には 野焼きが利用されていました。アフリカ、中南米、東南アジアなど熱帯域の森林やサバンナ地帯では 大規模な火災が発生しています。シベリアや北米では地球温暖化の影響による森林火災の増加が懸念 されています。こうしたバイオマス燃焼では、二酸化炭素や一酸化炭素のほかエアロゾルなどの微量 成分が大気中に放出されます。それらの物質や二次的に光化学生成される対流圏オゾンなどは、大気 の化学過程や気候変動に大きな影響を与えています。その最新の研究成果は9月に南アフリカで開催さ れたIGAC/CACGP/WMO合同シンポジウムで発表されました。(伊藤彰記)
  19世紀の産業革命以後、人間活動によって二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、 亜酸化窒素(N2O)等の温室効果気体の大気中濃度が増大してきました。それ故、地球温暖化やそれに伴う気 候変動など地球環境へ悪影響が及ぶことが懸念されています。N2Oは温室効果能力がCO2の300倍もあり、 さらにオゾン層の破壊にも関与しているため、近年その研究は大変重要視されています。地球環境フロン ティア研究センターでは、全球モデルを用いた数値シミュレーションを行うことによりN2Oの全球循環の把 握と放出源の定量化を目指しています。(石島健太郎)
 
Frontier Newsletter/No.30
FRCGC Index
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