Newsletter No.6 March-1999 



ロジャー・コロニー
Mr. Roger Colony
 私はシアトルのワシントン大学で北極海氷力学共同実験(AIDJEX)に参加 した後、1972年に北極研究を始めました。初期の研究は、パックアイスの 数値モデルに関するもので、塑性変形、凝固/融解サイクルの熱力学、及 び氷厚の分布を含みます。AIDJEXでの多くのフィールド観測と北極圏ブイ計画から、 海氷―大気反応の実験的、確率的モデルに興味を持ちました。これらのデータはパ ックアイス運動の平均的、時空間統計解析に役立つものでした。 私はこれまでアイスキャンプ、船を使った観測、さらに潜水調査といった多くの フィールド計画に携わってきました。経験上、研究者はフィールド作業を経験すべ きだと思っています。
 1995−1998年の間、私は世界気候研究計画の一つである北極圏気候系研究(ACSYS) 用の国際計画室長をしておりました。そこは、海洋学、気候学、水文学、海氷研究 及び数学モデルを一緒にしたようなスケールの大きい研究をするよい機会でした。
 現在私は、IARCで大気/海洋/海氷物理グループのリーダーとなり、海氷の運動 及び大気循環の長期観測に基づく上層海洋循環の解析の研究を進めています。

I began arctic studies in 1972 after joining the Arctic Ice Dynamics Joint Experiment (AIDJEX) at the University of Washington, Seattle. My early work focused on numerical models of perennial pack ice; including plastic deformation, thermodynamics of the freeze / melt cycle, and the distribution of ice thickness. Using many of the field observations from AIDJEX, and from the Arctic Buoy Program, I became interested in empirical and stochastic models of ice-atmosphere interactions. These data also supported an analysis of the mean and space / time statistics of pack ice motion. Throughout my career, I have participated in a number of field programs; ice camps, ship-based expeditions, and even a submarine cruise. I believe that all researchers should be exposed to fieldwork.

During 1995−1998,I was director of the International Project Office for ACSYS, a program of the World Climate Research Program.

This was a grand opportunity to participate in a large-scale cooperative study bringing together oceanography, meteorology, hydrology, sea ice studies, and mathematical modeling.

Currently I am leader of the Atmosphere / Ocean / Ice Physics group at IARC. My ongoing research interests include the analysis of upper ocean circulation based on long-term observations of hydrography, ice motion, and atmospheric circulation.






ジア・ワン
Dr. Jia Wang
 98年1月にIARCに参加して、北極圏研究の分野で様々なプログラムに取り組んできました。現在、北極圏の気候変化及び歴史的データの統計解析に基づいた予報可能性と北極圏における海氷−海洋の結合モデルと現況 /予報システムに取り組んでいます。
最近では、北極圏振動(AO)が専門の研究者から大いに注目されていますが、これは北大西洋振動(NAO)が北極圏において目立っているという従来の常識を覆すかもしれません。地球フロンティアの同僚との研究から、AOへの応答では、北極圏の海水―海氷振動(ASIO)が1991−95年のデータを基にすると目立った現れ方をしています。そしてAOとNAOとの関係は以下のようなものです。即ちi)互いに相関関係がある、ii)AOは季節を超えて現れるが、NAOは冬季のみに見られる、iii)AOは夏季には海水―海氷の表面と、より重要な関係を持っている、ということです。
 今後、これまでの歴史的な海洋データを解析することによって北極圏海洋振動(AOO)の兆候を発見する必要があり、この研究によって北極圏の大気―海氷―海洋システムに対する私達の理解は深まり、数年から十年の変化はある程度予測可能となることでしょう。
 私達の研究の最終目標は気候変動の予測なので、数値モデル化はこの課題を実現するための非常に重要な方法です。私は海氷―海洋の結合モデルを北極海に適用しています。まず、海氷と海洋がどのようにAOに反応しているかを知らなければなりません。というのは、この結合モデルからいくつかの重要な情報を見つけ出すかもしれないからです。既存の海氷―海洋結合モデルは海氷と海洋の表面の特徴のみに焦点を当てています。私の方法はAOに対する海洋全体の反応に焦点を当てるものです。次に、北極海沿岸で密度の高い水が生成されるその力学的過程を知らなければなりません。そして、データの同化と共に短期予測のための北極圏の氷―海洋システムの現況/予測システムを立ち上げることです。最後の(三番目の)ものは難しいので、実現には多少時間がかかるかもしれません。
 新しい世紀を前に我々は、新しい挑戦に直面しています。しかし私はきっと実現出来ると思っています。

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