Newsletter No.7 July-1999
地球フロンティア研究システム
地球温暖化予測研究領域長 真鍋淑郎
Syukuro Manabe,Director
Global Warming Research Program / FRSGC
皆さん御存知のように、海洋は大気中に莫大な量の水蒸気を休むことなく供給し続けており、地球の水循環を駆動しております。海洋はその熱容量が大変大きいので、熱エネルギーの巨大貯留槽として働いており、そのお蔭で、地球温暖化のペースを遅くしております。海洋と大気の間では、熱や水蒸気だけでなく、運動量も交換され、南方振動のような大規模な気候変動も引き起こされます。カーク・ブライアンと私が、大気と海洋それぞれの大循環モデルを結合させて、比較的簡単な大気―海洋―陸面結合モデルを始めて開発したのは1960代後半のことでした。その結合モデルは簡単なものでしたが、気候の大規模分布を決定するのに海洋と陸面がどの様な役割を果たしいるかという疑問に答えるために大変役立ちました。
過去30年間、結合モデルが、地球温暖化や気候変動を研究するために用いられてきました。これらの研究の動機は、結合モデルが広域の気候分布だけでなく、その変動をシミュレートするのに成功したことにあります。例えばある結合モデルは局所或いは全球平均の表面気温変動の振巾を、ほぼ再現することに成功しております。そのモデルは又、年々のみならず十年規模の南方振動によって誘導される海面温度のゆらぎも、よく再現しております。北大西洋ではいわゆる北大西洋振動(NAO)、数十年規模熱塩環の変動とそれに伴う海面温度の変動も再現しています。結合モデルが熱帯太平洋における南方振動/エルニーニョ現象の予測に成功し始めたことは御承知の通りです。現在、結合モデルの種々の欠点が指摘されていますが結合モデルが気候研究のため非常に強力な道具になって来たことは疑いを入れません。
最近地球フロンティア/地球変動研究所のスタッフが、領域の垣根を越えて親密に協力し、大気―海洋―陸面結合モデルの開発に乗り出すのを見て私は非常に喜ばしく思っています。年末に向けた強力なスーパーコンピュータの導入と、3年以内に完成する予定の非常に強い地球シミュレータの利用とが相まって、気候変動及び温暖化の物理的メカニズムを探求し、その予測の可能性を評価することを楽しみにしております。
大気・海洋・陸面結合モデルの物理過程
Physical Processes In
A Coupled Ocean-Atmosphrere-Land Surface Model
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