Newsletter No.8 Ocotober-1999


気候変動予測研究領域
鍵本 崇
Climate Variations
Research Program
Dr.Takashi Kagimoto
 黒潮の流量の季節変動や経年変動のメカニズムを数値計算という手法で調べています。大学院生の時から継続してきた研究テーマで、概ねのところはそのメカニズムはトルクバランスという観点から理解できてきたと思っております。今後は更に長期の変動に着目できるような数値実験を行っていくつもりです。これまでは黒潮を含む北太平洋亜熱帯域のみを着目してきましたが、このような数値実験の結果を解析することによって、熱帯海洋の長期変動との関わりや、また大気の長期変動との関係などについても調べていきたいと考えております。

 この他、科学技術庁航空宇宙技術研究所との共同研究により、水平 1/6 度の全球海洋大循環数値実験を行っております。この数値計算は世界的にも非常にチャレンジングなことであり、また近い将来完成する地球シミュレータ上で行う、超高分解能な全球海洋大循環数値実験のための足掛かりになると考えております。海洋物理にブレークスルーを与えるような夢の数値実験実現に貢献できるようにがんばりたいと思います。

 I have been investigating the mechanisms of the seasonal and interannual transport variations of the Kuroshio using a high resolution ocean general circulation model with quite realistic configurations and clarified those mechanisms in terms of the torque balance. Now I'll carry out a further long- term simulation in order to understand the mechanism of the low frequency variability (e.g., the decadal variability) of the subtropical gyre in the North Pacific as well as its relation to the variability of the tropical ocean circulation or to the atmospheric low frequency variability.

 I have also been doing the numerical simulation of the world ocean with 1/6 degree horizontal resolution. This is a cooperative study between the Frontier Research System for Global Change and the National Aerospace Laboratory, STA. I hope this work becomes a stepping- stone for the numerical simulation of the world ocean circulation with a super high resolution on the Earth Simulator and that I can contribute to accomplish such simulation that may give the break through to the physical oceanography.






気候変動予測研究領域
本田 明治
Climate Variations
Research Program
Dr.Meiji Honda
 97年春に長年住み慣れた北海道を離れ、東京大学での半年間のポスドクを経て、同年10月の地球フロンティア発足と同時にこのプログラムに参加しました。専門は気象学で、主に冬季の中高緯度の大気循環場変動や、海洋・海氷の変動に対する大気場の応答などに興味があります。北海道大学での学位論文ではオホーツク海の海氷域変動が遠く北米方面の大気循環場に影響を及ぼすメカニズムを数値実験とデータ解析によって解明しました。

 フロンティアでは現在2 つのテーマに取り組んでいます。ひとつは、冬の後半に顕著なアリューシャン低気圧とアイスランド低気圧の勢力間のシーソーの力学的メカニズムと、この北太平洋と北大西洋の架け橋となるシーソーの北半球の大気循環場への影響について、客観解析データを用いて調べています。冬季北半球の循環場の主要なモードとして最近知られるようになった「北極振動(AO)」の空間パターンの形成に、このシーソーが本質的にかかわっていることが分かってきました。

 もうひとつは主に数値実験によるもので、冬季北太平洋の亜寒帯フロント域の海面水温場の変動が北半球の大気循環場に有意に影響を及ぼし得るという結果が得られています。この2つはもちろん独立なテーマではなく、将来的に密接に関係していくものと確信しています。北半球の大気循環場及び北太平洋と北大西洋の海洋の変動を、大気−海洋結合系として総合的に解明していくことに全力を注いでいきたいと思います。

ホームページ http://w3.frontier.esto.or.jp/d1/meiji/

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