Newsletter No.8 Ocotober-1999 



 本ニューズレターでは、海外の地球変動研究機関をシリーズで紹介しています。シリーズ第7回目の今回は、97 年10 月に国際太平洋研究センターに参加されたL.M.ジェイムソンさんに、米国航空宇宙局(NASA )ラングレー研究センターを紹介していただきます。

 国際太平洋研究センター(IPRC )に参加する前、私は三菱重工(MHI)とNASA ラングレー研究センター(LaRC )において、数値計算の専門家として勤務していました。NASA ラングレー研究センターは、1917 年米国初の官民共同の航空研究所として設立された、航空学、大気科学及び宇宙工学等において世界レベルの研究所です。LaRC の研究分野の70%を占める航空学は、私の研究の応用分野であり、LaRC の中のアカデミックな研究グループである科学・技術計算機応用研究所(ICASE )に在籍していました。ICASEの課題は、基礎的かつ学問的なやり方でLaRC を支援することでした。ICASE の多くの科学者たちは大学に所属しているのに対して、我々のようなICASE 専属の研究者は、基本的に自由に自分たちが選んだ研究を追求することができました。

 ICASEの名が示すように、LaRC における計算機の重要性は、1972年にLaRCにおいて独立したセンターとしてICASEを設立するほど重要で、数値解析や計算機科学における基本的な問題を研究する目的に利用されました。ICASE は、1970年代から80年代にかけて数値解析の分野でとても有名になり、ここ10年計算機科学分野では、ビジュアライゼーションの重要な多くの分野で名を挙げる程でした。

 数値解析と計算機科学は、計算機シミュレーションに関連したLaRC の多くの分野で不可欠なものとなり、中でも、LaRCは風洞や試験設備はもとより、構造や材料を含む多くの研究分野で有名になりました。LaRC は、米国内はおろか、世界に誇れる風洞設備を持っています。ラングレーの風洞は、試験用の範囲として、0mphからマッハ25 、すなわち約17,500mphの風速までカバーしています。これらの風洞は、米国にとって唯一のもので、遷音速施設、遷音速力学風洞、8フィート高温風洞および超音速風洞が含まれています。しかし、風洞実験は実行するのにとてもお金がかかります。もし、いくつかの数値実験がスーパーコンピュータでできるのであればLaRCすなわちNASA はかなりのお金を節約することができます。また風洞実験や大規模な3 次元計算は膨大なデータを作り出しますが、そこから有用な情報を引き出さなければなりません。だからこそ、計算機によるビジュアライゼーションが重要視されるのです。

 私のLaRCでの経験は貴重なものでした。私がLaRCで一緒に仕事をした多くの優秀な科学者たちは、それぞれの分野での最先端の研究領域を切り拓いていました。その上、ICASEの特徴としてさまざまな大学と密接な関係があり、そのことがICASEの環境をとてもアカデミックにし、また学者達の考えを理解する事ができ、我々の研究の発展に寄与してくれました。さらに、私はLaRC がめざしているICASE を通したアカデミックな環境との結びつきが、世界中の政府の研究所に対し、よい例を示すものと確信しています。 私は、LaRC で得たシミュレーションや数値解析の知識が、IPRC や地球フロンティアにおいて、応用できることを期待しています。

米国航空宇宙局 ラングレー研究センター ホームページ http://www.larc.nasa.gov/




国際太平洋研究センター
International Pacific Research Center (IPRC)
L.M.ジェイムソン
Dr.L.M.Jameson


Homepage http://iprc.soest.hawaii.edu/people/jameson.html


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