独立行政法人海洋研究開発機構 一般講演会「地球環境シリーズ」
大気の変貌と地球温暖化ー京都議定書の先にあるものー
開催報告
     
地球温暖化問題が地球環境全体の問題として取り上げられるようになり、早くも20年以上が経ちました。産業革命以来、地球の長い歴史が生み出した大気の絶妙なバランスを変えるまでに増え続けている温室効果ガス特に二酸化炭素は、こうしている間にも増加の一途をたどっています。2002年、日本は、国際的に温室効果ガスの排出量の削減を規定した「京都議定書」に批准しました。地球温暖化を促してきた先進国としての責任を果たすためにも、社会全体での温暖化への取り組みが必要です。最近の研究では、地球温暖化は「化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素によるもの」という単純な図式では捉えきれず、大気と海洋、陸域生態系、大気汚染が総合的に絡み合った現象であることが分かってきました。
地球環境フロンティア研究センターと地球環境観測研究センターは、温暖化をはじめとした気候変動メカニズムの解明とその予測を目指して日々研究を進めており、地球温暖化の原因である大気の変動、循環、観測など、あまり知られていない温暖化の科学の最新の知見を紹介することで、地球温暖化問題を包括的に考えることを目的として、8月4日(水)に、国際連合大学にて、上記の一般講演会を開催いたしました。
地球温暖化の全体像を話す松野システム長
地球温暖化の全体像を話す松野システム長
講演会の前半では、上記テーマである大気の変貌と地球温暖化について全般的な説明を行い、その後、地球温暖化の原因である大気の変動、循環、観測など、あまり知られていない温暖化の科学の最新の知見を紹介しました。
「陸上の生態系の変化と地球環境」という講演では、京都議定書では、森林は二酸化炭素の吸収源としての役割が取りざたされていますが、実際は、強い温暖化によって土壌有機物の分解が進むと土壌から二酸化炭素が排出され、森林は吸収源として働かない可能性もあるし、その一方で、二酸化炭素の増加により光合成も変化することが予想されているという紹介がありました。
発表資料:2.1MB
森林の役割に関して説明する伊藤昭彦研究員
森林の役割に関して説明する伊藤昭彦研究員
海洋の仕組みを説明する村田昌彦研究員
海洋の仕組みを説明する村田昌彦研究員
次の「二酸化炭素を吸収する海のしくみ」という講演では、陸上の約60倍もの炭素を蓄えている海の内部の二酸化炭素の分布には、場所による濃度の違いがあり、これは海洋の循環によって決まることなどが紹介されました。地球温暖化によって、海面水温の上昇、生物活動の変化、海洋循環の変化が起こり、海による二酸化炭素の吸収量も変化する可能性があることも指摘されました。
発表資料:5.3MB
また、「二酸化炭素だけではない気候変化の要因」という講演では、温暖化に対する温室効果ガスであるオゾンの重要性、気候に対するエアロゾルの効果の重要性などが紹介されました。 特にオゾンについては地球環境フロンティア研究センターの研究で、温暖化に 伴って成層圏オゾンの対流圏への流入が増加し、一層温暖化が加速される可能性、またアジア大気汚染の増加によって北半球全体の温暖化が更に加速される 可能性などが示されたこと等が紹介されました。
発表資料:2.1MB
エアロゾルの効果に関して話す秋元肇プログラムディレクター
エアロゾルの効果に関して話す秋元肇プログラムディレクター
地球全体のシステムを話す河宮未知生グループリーダー
地球全体のシステムを話す河宮未知生グループリーダー
「大気・水・生物と気候変化の相互作用」という講演では、これまでの温暖化予測モデルが風の強さや気温など地球環境の物理的側面のみを扱っていたのに対し、地球環境フロンティア研究センターが開発している地球全体の統合モデルでは、森林やプランクトンなどの生物の振る舞い、オゾン生成などの化学過程も考慮し、二酸化炭素やオゾンの濃度といった大気組成の変化をも同時に計算することができるようになるということが紹介されました。
発表資料:1MB
地球温暖化問題を地球システム全体の包括的な問題としてとらえるべきであるとの最新の研究成果を紹介したあと、社会の対策として、国連大学の安井副学長が、「今後の地球温暖化問題を考える」というタイトルで講演を行い、今後の温暖化対策として、日本がとるべき対策としてのエネルギー問題と経済的また環境的付加価値の必要性が紹介されました。
発表資料:4.7MB

地球温暖化に対しての今後の対策を話す国際連合大学の安井至副学長
地球温暖化に対しての今後の対策を話す
国際連合大学の安井至副学長

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