このワークショップは、日-EUの科学技術分野における研究協力の合意に基づきこれまで開催されてきたものです。第1回は、「日EUシンポジウム’99」として1999年3月(於東京)に、第2回は、「Second EU-Japan Symposium on Climate Research」として2003年3月(於ブリュッセル)にそれぞれ実施されてきました。第3回目の今回は、日本とEU双方のプロジェクトの研究成果について情報交換を行うことにより、お互いの研究への相互理解を深めるとともに、気候変動研究の分野においてEUとの更なる研究協力の可能性を探ることを主たる目的とし、開催されました。
ワークショップには、日本側は23名、EU側は14名による発表があり、その他約40名のオブザーバー参加がありました。プログラムは6つのテーマで構成され、「日本EU気候変動研究戦略」、「炭素循環」、「気候変化予測モデル」、「大気化学」、「モンスーンと水循環」及び「地球観測」に関して研究発表が行われました(プログラム)。日本側は人・自然・地球共生プロジェクトやGOSAT関連のプロジェクト等の報告が行われ、EU側はSixth Framework Programme for Research and Technological Development(研究・技術開発に関する欧州第6期枠組みプログラム)のサブ課題である「気候変動と生態系」を中心とした発表があり、活発な議論が展開されました。
特に、前回までのワークショップ/シンポジウム開催以降、東大気候システム研究センターと英国気象局ハドレーセンターによる地球シミュレータを利用したモデル研究等、様々な研究協力が実施されていることが、確認されました。これらはIPCC(Intergovernmental
Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書に貢献するものであり、その重要性が再認識されました。
また、新たな研究協力の可能性を探る必要性が指摘され、両者の協力の推進により、京都議定書により確実な科学的根拠を提供することが出来るとの認識がなされました。
ワークショップの最後には、開催結果として、共同声明文(Joint Statement)が作成されました。特に、気候変動研究の追求と予測の精度化を視野に入れた現存の研究テーマに係る今後の協力について以下の指摘がありました。
<炭素循環>
データ同化システムとインバージョンモデルを含むメソコスム研究を実施するための実験方法の発展と評価、生物化学モデルを発展させる。
<気候変動モデル>
気候変動研究モデルについての共通の関心事項にについて確認。相互比較研究のために日本の全球高分解モデルの精査。またEU側の関連する研究会議等に日本を招待する。
<大気組成>
地域汚染、対流圏及び成層圏組成よる大気変化に関連した東アジアの科学的関心についての認識すること。また、将来の大気変化の分野における大規模な研究プロジェクトについて話し合いを開始する。
<モンスーンと水循環>
降雨量や水循環に注目した陸面の地域気候における土地利用変化についての役割、及びモンスーンを引き起こす陸面プロセスの年間の動きや、気候-水文学-水資源のモデルと水収支の研究等に力を入れる。
<全球地球観測>
アジアにおける気候の地上観測のギャップを確認し、日EUの協力により協力に現存の観測システムとデータ・アーカイブを利用し、データを評価する。また、GEOSS
(Global Earth Observation System:全地球観測システム)の発展に努めることもこの分野の発展に欠かせないものである。
更に、特定課題についてのWS等の定期開催が推奨され、2007年にヨーロッパで第4回日-EU気候変動研究ワークショップを開催することが合意され、ワークショップは盛況のうちに閉幕しました。
